iPhone5 画面サイズの真実

iPhone5が9月21日に日本でも発売された。
当日、早速近くのケーズデンキに行って実物をさわってみた。
最初の第一印象は、軽い、薄い、であった。
おいらは、まだiPhone4である。iPhone4の重さは137g。それと比べてiPhone5は112gと25gも軽い。重量は、20%程度軽くなった。
iPhone4は、従来の例えばドコモの携帯電話とかの重さに比べると重量感があったが、iPhone5はその重量感を解消してくれている。
やっと、日本の従来の携帯電話機並の重さになってくれたということだ。
iPhone4で電話をしていると、結構腕が疲れてしまうが、これで腕が疲れなくなるだろう。
SmartPhoneの重量としては、やはりiPhone4ぐらいの重さが限界で、100g前後以下がベストの重量と思われる。
つぎに薄さ。iPhone4は、9.3mmの厚さであるが、iPhone5は7.6mmと、こちらも20%程度薄くなっている。
iPhone4は、手に持つとどっしり感があるが、iPhone5を手に持った感じは、軽やかだ。
iPhone5は縦長に大きなサイズになるということだったので、実際に手に持った感じどうなるのだろうと、若干の懸念があったが、実際のiPhone5はこの懸念を吹き飛ばしてくれた。

さらに驚いたことがある。
ケーズデンキでは、iPhone5の隣にiPhone4Sを展示していたのだが、iPhone4Sの画面をじっと見てからiPhone5の画面に目をやっても、全く違和感がないのだ。縦長になっているという違和感が全くないのだ。
さらにびっくりしたのは、ホーム画面のアイコンの配列だ。
iPhone5が発表される前に思ったのは、アイコンの配列はどうなるんだろうということだった。縦長になるので、表示できるアイコンの数は増えるだろう。増えた場合、アイコンのサイズは小さくなってしまううのか、それとも窮屈な配列にしてしまうのか、はたまたアイコンの数が同じであった場合、iPadみたいにスカスカな表示になってしまうのかと思いをめぐらしていた。
実際のiPhone5は違った。ぴったり一列分増えている。そう、ちょうどぴったり一列分増えているのだ。
下にiPhone5iPhone4Sのホーム画面を並べてみる。

これって、偶然なのか?
iPhoneは当初3.5インチサイズの画面で登場した。
他社はこれに追従し、さらに差別化を図るため画面サイズを大きくしていった。
Appleは他社の画面サイズ大型化に対応するため、iPhone5で画面サイズを大きくした、ととらえるのが普通だ。
でも本当に、そうなのだろうか。
Appleは、最初から4インチサイズの画面サイズを実現したかったのではないだろうか。
ただ、iPhoneが登場した2007年に、この画面サイズを実現した場合、それは重くて分厚いiPhoneになっていただろう。
片手で持つにはしんどくて、片手で持てても、親指の動きで画面全体をカバーすることは困難であったろう。
片手で持てて、親指の動きで画面全体をカバーできる画面サイズとして、2007年当時は3.5インチのサイズが限界だったのではないか。
それでは、なぜAppleは4インチサイズの画面を実現したかったのか。

謎を解く鍵はアスペクト比にある。
iPhone5の画面は1136×640ピクセルなので、アスペクト比は、ちょうど16:9である。これは、HDTVアスペクト比と同じだ。
多くの映画のサイズ(ビスタサイズ)もこのアスペクト比に近い値だ。
流通している映像コンテンツを見る場合は、この16:9というアスペクト比が非常に都合がいいサイズなのである。
3.5インチサイズのiPhoneはどうかというと、960×640ピクセル(Retina版)なので、アスペクト比3:2になる。この3:2というアスペクト比は非常に中途半端なアスペクト比なのである。
昔のTVや昔の映画のスタンダードサイズであるアスペクト比4:3ともかけ離れているし、黄金比率(1.618:1)ともかけ離れているのだ。
ちなみに、iPadの画面サイズは、アスペクト比4:3なので映画のスタンダードサイズと同じである。GalaxyNoteは1280×800ピクセルなので、黄金比率にほぼ近い値だ。
AppleiPhone開発当初から4インチサイズのiPhoneを本当は製品化したかったのではないだろうか。
ただ、当時の技術ベースでは、4インチサイズを実現した場合、重く厚くなってしまうので製品化を断念したのではないだろうか。
もともと4インチサイズが目指す大きさであったと考えれば、あのアイコンがちょうど一列分増えて、ぴったりと表示される理由もうなずける。
3.5インチから4インチに大きくなったのではなくて、もともとのゴールが4インチだったのだ。
他社に追従して単に画面サイズを大きくしたのではなくて、Appleはもともとのゴールである4インチサイズをiPhone5として製品化したのである。