アップル帝国の正体

最近あまり本を読む時間がなかったのだが、田舎に帰省している間に、『アップル帝国の正体』を読み上げた。

アップル帝国の正体

アップル帝国の正体

本書を読み上げた感想は、Appleのものづくり対する執念である。

液晶パネルの供給確保のために、シャープの亀山第1工場に約1000億もの資金を投入し、Appleの専用工場にしてしまう執念。
コンタクトするメーカは名のある大企業ばかりではない。
iPodの裏蓋を理想の輝きにするために、新潟にある中小企業にもコンタクトをとる執念。
コストに対しても、部品一つ一つに購買責任者をつけてコスト削減に邁進する執念。
部材の納期についても、数ヶ月先の生産予定を1日単位で立てるように要求する執念。
ここまでやるのか、と驚かされるばかりだ。
ただ、この執念があってこそ、今のAppleがあるのだろう。
本書は、Appleと関わった日本のメーカや日本人を通して、Appleの凄さをうまく描き出している。

とはいえ、やはり気になるのは最終章である。
最終章は、"Apple神話は永遠なのか"と題されている。
最近のAppleのつまづきがあげられている。
Googleの地図アプリを標準搭載から排除し、自社の地図アプリを標準搭載したものの、結局失敗に終わった。
タブレットも、他社の廉価版対応としてiPadminiを製品化せざるをえなかった。
2013年には、iPhone5の出荷目標も大幅な下方修正をする事態が発生した。
でもちょっと待って。
地図アプリは、つまずいてしまったけど、Flyoverは素晴らしい。Flyoverの3D描写をみると、まるで空を飛んでいる気分にさせてくれる。
iPadminiも、安さと軽さでタブレットマーケットの裾野を広げるという意味では成功だろう。成果はこれから現れる。おそらく次のiPadは、軽量化される。この軽量化は重要だ。軽量化により、iPadminiのユーザもiPadを選択する割合が増えてくるのではないだろうか。やはり、画面のサイズはiPadのサイズがベストだ。
iPhone5の発売と同時に、iPhone4とiPhone4Sはディスカウントのラインナップとして残された。多くのユーザがこのディスカウントに飛びついた。何故ならiPhone4とiPhone4SはSmartPhoneとしての完成度も高く、さらに安価となれば、誰でもが購入したくなるだろう。
良い製品をつくってしまっがゆえの結果なのかもしれない。
iPhone5は、軽量化と大画面化がなされ、さらに完成度がアップしている。おいらが思うに、HWデバイスとしてiPhone5を大きく越えるデバイスの製品化は、今後難しいのではなかろうか。
HWの進化にブレーキがかかれば、やはり安価な価格設定をされたiPhoneにユーザは流れていくだろう。

とはいえ、一番大きな懸念は、ジョブズ亡き後に、新たなプロダクトが発表されていないことだ。
一見すると、Appleは輝きを失いつつあるようにもみえる。
Appleは巨大化しすぎてしまったのだろうか?ただの大企業になってしまったのだろうか?
いや違う。Appleは、生まれ変わろうとしているのだ。今は、産みの苦しみの段階なのだ。

さて、それではAppleこれからどのように生まれ変わろうとしているのだろうか?

(つづく)