Appleはどこまで巨大化するのか

今週の週刊ダイヤモンドは、特大号と称して、Appleを特集している。
特集の題名は、"日本を呑み込むAppleの正体"だ。
なんとも刺激的な表題だろうか。

冒頭、Appleの売上高と純利益の推移がグラフで示されている。
Appleの凄さは一目瞭然で、iPhone発売以降売上高と最終利益が爆発的に伸びていることが分かる。iPhoneが発売された2007年の売り上げは、240億ドル。2011年には、1082億ドルだ。実に4倍の伸びだ。最終利益のほうはどうかというと、2007年は、35億ドル。2011年には260億ドルである。最終利益は、実に7倍以上の伸びをみせている。2011年の最終利益は、2007年の売り上げよりも大きいのだ。
この数字だけをみても、Appleがいかに巨大化したかがわかるだろう。

Appleがここまで巨大化できたのは、やはりMobileの大波にうまく乗れたからだろう。Jobsは、Mobileが大波になることを見極めていたということだ。
AppleGoogleはこのMobileの市場で敵対している様に見えるが、実は違う。
本誌でも述べられているが、AppleGoogleのMobile市場に対するビジネスモデルは異なる。
Appleは、iPhoneというハードウェアの売り上げで利益をあげている。iPhoneを魅力的な製品にするために、膨大なアプリの供給やiCloudによるサービスにより、使い勝手を向上させている。
一方、Googleは、広告収入に頼っている。AndroidというOSを供給しているが、ハードウェアそのものに主眼をおいているわけではない。
EricShmidtがGoogleのCEOだった頃、Appleは、(Jobsは)Googleとの敵対関係を演出していたにすぎないのだ。
共通の目的は、クラウド化の先にある来るべきMobileの時代に、主導権を握ることにあった。
PCの時代にMicrosoftに独占されていた主導権を、Mobileの時代に奪い取ることにあったのだ。
AppleGoogleは共に、Mobileの市場を活性化させ、双方で主導権をつかんだのだ。
Appleのみが、SmartPhoneの市場を独占していたら、Appleもこれほど急激な成長はなかったのではないだろうか。

Appleが巨大化できたのはそのデザイン力にもある。
本誌を読んで感じたのは、Appleはデザインを実現させるために、その製造技術を極めて行ったのだ。
ものづくりの為の製造技術ではなくて、デザインを実現させるための製造技術なのだ。
本誌では、「ユニボディ」の製造にまつわるエピソードが語られている。
ユニボディのMacBookProが2008年に登場した当時、一台の工作機械で一日に加工できるのは、せいぜい8台程度だった。普通であれば、この製品の製造はあまりに非効率的なため、ぽしゃるだろう。
Appleの思考方法はまったく逆だ。デザインを製造(量産化)するために、工作機械を1000台買えばいい、という発想になるのだ。
本誌では、慶応義塾大学大学院教授の山中氏のインタビュー記事を掲載している。インタビューの中で、次の言葉が印象的だ。"彼らはデザインと製造技術のイノベーションを同時にやっているのだ。"

Appleは、これからもまだ巨大化するのだろうか?
恐らく、Yesだ。
中国やインドを含むアジアの市場は、まだこれから伸びるだろう。
それに、iPadの勢いも衰えを見せていない。
それに、リビングというTVに独占されている市場も残されいるのだ。