WORK SHIFT。今、そこにある未来。

この本は、ちょっと評判らしい。
時間を少しかけて、読了。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

"WORK SHIFT"は、今そこにある未来を描いている。
本著は4部構成になっている。
第1部は、" 何が働き方の未来を変えるのか?"
ここでは、未来を形づくる5つの要因をあげている。
5つに要因とは、
・テクノロジーの進化
グローバル化の進展
・人口構成の変化と長寿化
・社会の変化(生活スタイルの変化、価値観の変化)
・エネルギーと環境問題の深刻化
である。

第2部は、"「漫然と迎える未来」の暗い現実"
ここでは、第1部の要因が招く、暗い未来を描いている。
暗い未来とは、"いつも時間に追われ続け"、"孤独にさいなまれ"、"新しい貧困層へと落ちこぼれる"未来だ。
第3部は、"「主体的に築く未来」の明るい日々"
ここでは、第2部とは反対に、第1部の要因が招く、明るい未来を描いている。
明るい未来とは、"コ・クリエーション"を主体とし、人々は"積極的に社会と関わり"、"創造的な人生を切り開くミニ起業家"が活躍する。
第4部は、明るい未来を手にするために、どの様に働き方をシフトすればいいのかが、提言される。ここでは、3つのシフトが必要であることが述べられている。
3つのシフトとは、"ゼネラリストから「連続スペシャリスト」"へ、"孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」"へ、"大量消費から「情熱を傾けられる経験」"へ、である。

第2部と第3部では、暗い未来と明るい未来が語られるのであるが、一部の描写は、あれっこれって今も始まっているよね、と思わせる。
そうなのだ、暗い未来と明るい未来はすでに始まっているのだ。ここで描かれている未来は、10年後に訪れる未来ではなく、すでに始まりつつある未来なのである。10年後に訪れる未来の多くが、暗い未来なのか明るい未来なのかは、今現在の私たちの意識と行動にかかているのである。

本著であげている未来を形づくる5つの要因は、日本人の多くの方が身近に感じているのではないだろうか。
特に"人口構成の変化と長寿化"は、いま日本はその真っ只中にいる。
今日は、敬老の日だ。ニュースによれば、65歳以上の人口は3000万人を越えた。4人に一人は、65歳以上ということだ。これは大変なことだ。4人に一人は年金を受給し、ただ年金を消費するために生活していくことになる。本著でも述べられているが、65歳で突然社会的な価値を生み出す行為が途絶えることは、平均寿命年齢を考えても不自然なことである。65歳以上になっても、何らかの形社会的な価値をうみだす活動を継続できる社会の仕組みや個々人の意識の変革が必要なのではないだろうか。

さて、未来を形づくる要因の根本をなすのは、"テクノロジーの進化"である。このテクノロジーの中でキーをなすのは、インターネットの爆発的な進化である。
インターネットの重要性は、個人の力を増大させことだ。安価なコストで、個人が全世界に情報発信できるのだ。それと、個人がインターネットの世界に蓄積された情報に、平等にアクセスできることだ。
個人の力が増大した延長線上に、"自己ブランドの確立"の重要性がある。誰とでもつながるインターネットの特性の延長線上に、つながりあった個人による"コ・クリエーション"が開かれるのである。

ネットの重要性は、おいらも身にしみている。10年前では、個人が世界に対し情報を発信できることなぞ想像できなかった。個人が情報を発信しようとすれば、新聞の投稿欄とか従来のマスメディアを利用するしかなかった。世界(世間)に対し情報発信する手段は限られており、情報発信の手段を持つ企業に身を任すしかなかった。今は違う。誰もが安価なコストで情報発信ができてしまうのだ。それも全世界に向けてである。

最近よく思うのだが、ネットに蓄積されている情報には、恐れいる。
例えば、iOSのアプリを開発していて、どの様にコーディングすればいいか行き詰まった時は、ネットで検索すれば打開策が見つかる。多くの人が同じ様に行き詰まっており、ネット上にその打開策(備忘録)が情報提供されているのだ。
インターネットがなかった時代と比較した場合、生産性の向上には目を見張るものがあるだろう。

思うに、インターネットをうまく使いこなすかどうかも、明るい未来を築く上で、重要な要因となるのではないだろうか。