Mac OS XがApple変革のキー

Apple Insiderの"The next ten years of Mac OS X"の記事を読むと、Mac OS Xの移植性の良さが、Apple変革のキーであることが良く分かる。

この記事に掲載された図と当時のAppleの動向を書き出してみる。Mac OS Xは、どの様に変貌を遂げていったのだろうか。

・1997年 Yello Box/Rhapsodyリリース
・1999年 Mac OS X Server 1.0リリース
・2001年 Mac OS X PPC (Power PC)リリース
・2005年6月 WWDCで搭載するCPUをPowerPCからIntel Chipに移行することを宣言。
・2005年9月 iPodが爆発的なセールスを記録している一方、携帯電話の普及に対抗すべく、モトローラと組んでROKRを発売。結果は失敗に終わり、自社開発を決定。
・2006年 Mac OS X Intelリリース。2006年1月にIntel版MacBookProとiMacを発表。
・2007年 iPhone OS (iOS)リリース。2007年1月のMacWorldでiPhone発表。搭載したCPUはARMアーキテクチャ
・2010年 iPad (iOS)リリース。2010年1月にiPad発表。

こう書き出してみると、2005年以降Appleが劇的に変貌を遂げたことが分かる。
搭載するCPUをPowerPCからIntel Chipへ移行し、その1年後には、Appleにとって全くことなる製品カテゴリであるiPhoneを発表。それも搭載するCPUはARMアーキテクチャなのだ。
その変貌を支えたのがMac OS X(=Objective-C)の移植性の良さなのである。
Objective-Cの移植性の良さについては、萩原剛志氏の"詳解 Objective-C 2.0"のコラムの中でも言及されている。

Mac OS Xの移植性の良さがなければ、短期間のうちに、全く異なる製品戦略にもとずいた、全くアーキテクチャの異なるCPUの採用はできなかったであろう。

Mac OS Xの側から見ると、iPhoneは携帯電話の延長線上にあるのではなく、マルチタッチ機能を備えたMobileDeviceの再発明とみた方がしっくりくる。ただ、セールス的には携帯電話の延長線上においた方が、ユーザに理解されやすいだろう。
仮に、マルチタッチ機能を備えたMobileDeviceとして、iPadを先行して発売していたらiPadもこれほどの成功はなかったと思われる。
iPhoneにより、マルチタッチ機能が受け入れられたがゆえに、今のiPadの成功があるのだ。