TVの終わり、そして始まり。(第5回)

しばらくの間、TVのことばかり考えいたのですが、TVを取り巻く状況を俯瞰したく、志村一隆氏の"明日のメディア"を読んでみました。
志村氏には、"明日のテレビ"という著作もあります。これは以前おいらも読んでみましたが、米国のTV事情がうまく書かれていました。

本著では、題名の通り、今後のメディアビジネスがどう展開して行くのについて書かれています。
ポイントだけをちょっとまとめてみます。
・インターネットの情報は、コンテンツとコミュニケーションの二つ。
コミュニケーション(メールやチャットなど)と一般的な情報コンテンツ(お天気情報などの生活情報)は無料化され広告モデルで運営される。高度なエンターテイメントだけが有料化される。
・メディアが関わる顧客は増えるが、メディアの単価が下落し売り上げは減る。
例えば、Facebookは7億人のユーザがいるが、売上は20億ドル程度しかない。
但し、今後はソーシャルメディアがコミュニケーションのみならず、マスメディアに代わり無料コンテンツも配信する。
・これからの広告ビジネスは、顧客データではなく、行動データがキーとなる。
今後の広告ビジネスで重要なのは、メディアなのではなく、ユーザの行動データである。

本著を読むと、ここ数年でメディアの配信形態や広告のビジネスモデルが、がらっと変わってしまうことを感じさせてくれます。

本著のなかで、日本の"ガラポンTV"が1ページたらずですが、ちょこっと紹介されています。
ちょっと気になったのでHPをのぞいてみました。
ガラポンTVとは、24時間、60日間、7チャンネル(ワンセグ放送)分を録画して、インターネット視聴(SmartPhoneでも視聴可能)が可能です。これだけだと、ただの映像配信サービスですが、ちょっと違うのは検索機能が充実しているところです。番組表や番組内でながされた字幕テロップを検索してくれます。この字幕テロップを検索できるところがミソですね。字幕テロップのデータを検索することによって、観たい番組を網羅的にカバーすることができます。
また、もう一つ特徴的なのは、ユーザ間で番組検索のためのURLが共有できることです。番組チャネルとその番組の開始時間をURLで共有できます。
ガラポンTVの機能に、TVの未来をちょこっとのぞいた気がしました。

番組の検索と番組情報(感想)の共有が、今後のTV、メディアのキーワードとなりそうです。
それと、番組(コンテンツ)を提供する側も、検索と共有に対する仕掛をコンテンツに組み込むといったことも、検討して行く必要があるのではないでしょうか。


明日のテレビ チャンネルが消える日 (朝日新書)

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