Googleの尻に火をつけたSiri

どうやら、SiriはGoogleにとって危険な存在となる。
Googleの牙城である"検索"の勢力図をひっくり返してしまうかもしれないのだ。
Siriは、対応する言語が英語やドイツ語やフランス語といった制約もあるし、それにまだβ版なのだ。
それにもかかわらず、Siriの話題は尽きない。

Siriのセールスポイントは、音声認識によるパーソナルアシスタントの位置付けであるあるが、もともとは、何を目指していたのだろう。
Siriは、SRIの研究成果をもとに起業した会社だ。Siriのもともとの目的は、SRIのHPに書かれている。
ちょっと抜粋してみる。
"SRI International is leading the development of new software that could revolutionize how computers support decision-makers."
もともとは、コンピュータによる意思決定を目的としている。
そして、
"DARPA expects the PAL program to generate innovative ideas that result in new science, new and fundamental approaches to current problems, and new algorithms and tools, and to yield new technology of significant value to the military."
とあるように、軍事関連の産物なのだ。要は、究極の選択に対して、コンピュータがアシストしてくれることを目指しているのだ。
Siriは、究極の答えを用意するために生まれたのだ。

ところで、Siriの動作構造はどうなっているにだろうか。
わかりやすい資料があるので掲載する。

Siriの構造は 音声認識、タスク処理(自然言語処理含む)、データ検索(さまざまなウェブサービスを利用する)、といった三重構造になっている。
問題を解決したい対象者の話し言葉を認識し、シチュエーションに応じて何をすればいいかを理解し、過去の経験(実際は、ウェブ内に存在する膨大なデータ)を検索して適切な回答を答えるのである。

これは、よくよく考えると、従来のGoogleに代表されるような検索ツールを利用して、検索する本人が結論にたどり着くプロセスと同じだ。
Googleを利用した検索であれば、求める情報を得るために、まずキーワードを打ち込む、次にキーワードに関連した情報の一覧が表示される、次に一覧の中から適切な情報選択する、といった複数のステップを踏んで最終結論にたどり着くのであるが、Siriは、これを一気に実行してしまうのだ。
その人が置かれているシチュエーションもとに、一気に最終結論を提示してくれるのである。
Siriはパーソナルアシスタントとして位置付けられているが、当然のことながら、検索にも使える。
XXの意味ってなに?XXて誰?XXに関する最新ニュースが欲しい。XXで一番有名なレストランは?ここから歩いて5分以内のコンビニはどこ?
XXが写っている画像が欲しい。XXに関するYouTubeは?
Siriは全部答えてくれるだろう。
これは、検索画面に関連するスポンサーの広告を表示して、広告料金を徴収するGoogleのビジネスモデルにとって、脅威の何ものでもない。
Googleの画面をスルーして結論に達してしまうのだ。
いっとき、検索を担当するGoogleの幹部はSiriに対して否定的な発言があったが、エリック・シュミット氏はSiriの脅威を正直に認めている。

Siriは、Googleの尻に火をつけたのだ。