ジョブズの最大の功績は、Appleそのもの。

AllTingDにAl Gore(アル・ゴア)氏のインタビュー記事が掲載されています。Appleについても語られていて、興味深いです。

冒頭、Steve Jobs氏が亡くなってしまったのは、世界中にとって大いなる損失であると言っているますが、続いて次のように語っています。
『I actually think his greatest work was Apple itself.
He created an organization ― and inspired it ― that literally creates technology that people love … and that’s going to continue. There’s so many things in the pipeline, and the team that he built is hitting on all cylinders.』
ジョブズ氏の最大の功績は、Appleそのものなのですね。
ジョブズ氏はAppleという組織を築き上げました。そして、Appleの組織に命を吹き込んだのです。その結果、Appleは人々が愛するテクノロジーを生み出し続けています。
Appleの製品を生み出すプロセスはパイプラインのようです。パイプラインを通過すると、要所要所でジョブズ的な発想のチェックを受けて、無事パイプラインを通過すると、ジョブズ的な、Apple的な製品が仕上がるというわけです。(訂正:訳が間違っていたので削除します。以下訂正文。)
計画されていた製品はたくさんあります。ジョブズが築き上げたチームは、それを十分にこなしています。

通常の会社では、製品を市場に出すまでのルールや規定があります。そのルールや規定を通過すれば、製品化が許可されます。ただ、ルールや規定が形骸化すると、製品化したものが本当にユーザが満足するものなのかどうか、といった視点が置き去りにされがちになります。
ここで大事なのは、ルールや規定に"命(情熱)"が吹き込まれているかどうかです。
Appleには、製品化するプロセスに、ジョブズ氏の"情熱"が宿し続けているのではないでしょうか。

アル・ゴア氏のインタビューでは、さらに興味深いことが語られています。
『And yet, he also served on the board of Disney … and he used to talk initially about how, after Walt Disney died, the company always got in trouble about asking ‘what would Walt do in this situation?’ And he made it very clear: ‘I don’t want that.’ He made it clear to Tim Cook and everyone else. ‘Don’t ask what Steve would have done. Follow your own voice.’”』
やはり、ジョブズ氏は、自分がいなくなった後のAppleを気にしていました。
ジョブズ氏は、ウォルト・ディズニー氏亡き後の、ディズニー社の混乱を引き合いに出します。混乱のもとは、会社の経営陣が"ウォルトだったら、どうしていたか?"と問い続けたことにあります。これは、答えがみな同じであれば問題ないでしょう。でも、それはありえません。みなが、ウォルトだったらこうしたはずだ、と主張し合うばかりです。
ジョブズ氏は、ティム・クック氏を含めた経営陣に明確に伝えます。
"スティーブだったらどうしたか?なんて問いかけるな!おのれの声に従え!"
凄い言葉です。
"Follow your own voice."
何と東洋的な言葉なのでしょう。これも禅の影響なのでしょうか。
スターウォーズに登場するヨーダが、ジェダイであるルークにフォースを呼び覚ます術を伝える場面を思い出してしまいます。
さて、"Don’t ask what Steve would have done. Follow your own voice."は、Appleの経営陣に放たれた言葉です。
われわれは、やはり
"Do ask what Steve would have done. Follow your own voice."
なのでしょう。
ティーブだったらどう考えたのか。そして、おのれの声にも耳を傾けよ。