Amazonが仕掛けて来た。

最近の記事をみると、Amazonが仕掛けて来たな、と感じる。
この記事では、$200台の安価なタブレットをリリースすると予想している。
この記事では、安価なタブレットを呼び水として、Amazonで提供する商品の購入へ誘導することを狙っているとしている。
さて、Amazonはいったい何を狙っているのか。

タブレットの市場は、事実上Appleの独占状態に近い。
これは、ひとえにデバイスの価格設定にある。
WiFiモデルであれば、16GBのフラッシュモデルで、たったの$499だ。この価格設定には、他の競合メーカは驚嘆したであろう。おそらく最下位モデルでも$700〜$800の設定からスタートと予想していたに違いない。
この$499という価格は、かなりのボリュームを前提にしても並のメーカではかなりハードルが高い。利益ゼロにしてもやっとできる限界なのではないだろうか。その位、驚きの価格なのだ。
こうなると、競合メーカは、仮に同じ価格帯のタブレットを提供しても、誰も魅力を感じないだろう。
iPadには、デバイスの魅力以外にも豊富なアプリが存在しているし、今となってはiCloudとうい新たなサービスも控えている。こうなると、同じ価格帯で製品化しても勝負にならない。
勝てる、または隙をつくとすれば、大幅な低価格版+αが必要だ。大幅な低価格版のみでは駄目で、これにどうしてもプラスアルファが必要だ。
大幅な低価格で気を引いてもらい、プラスアルファのサービス提供によって、やっと購入してもらえるのだ。
Amazonは、この戦略をとったわけである。
そして、一番重要なのは、プラスアルファのサービス内容だ。Amazonは、コンテンツのストリーミング提供を、もっと前面に押し出してくるだろう。
実際のところ、音楽及び映画のストリーミングサービスは提供を始めている。(今はそれ程前面に打ち出していない様に見受けられる。)
音楽であれば、アマゾン・クラウド・プレーヤーがある。
映画であれば、アマゾン・インスタント・ビデオがる。
もしかしたら、書籍も視野に入れているのだろうか?定額で本が読み放題っていうのもいいかもしれない。

当然のことながら、今後コンテンツ配信の主流はストリーミング配信になる。
Cloud的スタイルが浸透すれば、こちら側にコンテンツを常に保存しておく必要が無いことは誰でも理解し始める。それに所有する複数のデバイスで制約なく利用可能となれば、ストリーミングの方が最適と感じるだろう。

ストリーミングが何故重要性なのかというと、繋がっているのが当たり前の時代となっている今、繋がっている事が重要なのではなくて、繋がっている状態で何が提供されるかが重要なのである。
今は、繋がっている事にお金を払っているが、これからは、繋がっている事は当然で、繋がっている状態で何が提供されるかがより重要となるわけだ。
繋がっている事にお金を払う時代から、何が提供できるかにお金を払う時代になるのだ。
今は、ただ単に繋がっていることにお金を払っているが、これからは提供されるサービスにお金を払っていく時代になる。
要は、常に繋がる状態にお金を払うのではなくて、常に提供されているサービス(=ストリーミング)にお金を払うのだ。
回線をキープすることではなくて、サービスをキープすることにお金を払うわけである。
Amazonの戦略は、デバイスを購入してもらうことではなく、そのデバイスで提供されるサービスを購入してしてもらうことにある。
Amazonは安価なデバイスを提供し、商品をいつでも消費できることにお金を払ってもらうのだ。極端な話、デバイスはただでもよい。

安価なデバイスを提供することは、利益を度外視すれば誰にでもできる。ただ、商品をいつでも消費できるサービスの提供は、Amazonにしかできない。
ここが、Apple以外のメーカと大きく違う点である。

それゆえ、AmazonAppleの対抗馬として、ダークホース的存在なのである。