Apple strategy and next step 2011
Apple strategy and next stepと題して、ちょうど一年半前にAppleの当時の状況からAppleの今後の戦略がどうなるかをブログで書いた。
一年半前というとちょうど初代iPadの発売がウワサされていた時期で、呼び方もいろいろ取りざたされていた時期だ。
あれから一年半が経過し、今やAppleの成長ぶりは驚異的であり、当時このようなAppleの急成長ぶりを誰が予想しただろうか。
一年半たった今、再度Appleの戦略を整理し直すと、まだまだ成長が続きそうだ。
さて、まずは一年半前にAppleの戦略を整理した図を再度掲載する。
AppleTablet(いまとなってはiPad)はまだ発表前であったので、まだもやもやした表現になっている。
次にCloudに関する戦略もまだもやもやした感じであった。ブログでも、Application、MobileMe、iTunesの統合とクラウド化が重要と書いた。
一年半前のAppleはまだ盤石ではなく、特にクラウド戦略の面では、GoogleやAmazonにも見劣りしていた。
さてそれでは一年半経った現在はどうであろうか。
Apple strategy and next stepの2011年版は、以下のような図となる。
一目でクラウド化の戦略が整理されていることが分かる。
プラットフォームもその画面サイズに応じてきちっと整理されている。
OSもOS XとiOSとに分かれているが、徐々に融合しつつある。
この図をみると横方向の製品ラインナップはきれいに整理されているし、縦方向の各階層の戦略もきれいに整理された。この図だけ見てもAppleの戦略が明確になってきたと言える。
それでは、Appleの次のステップは何か?
キーポイントは、3つある。
まずは、
・Human interface
Human interfaceにつては、もともとAppleは他社に比べ競争力があったが、さらに発展させていくだろう。
デバイスがよりフレンドリーとなるためにはHuman interfaceの改善が欠かせない。特に認識技術がデバイスのパーソナライズ化にも必須の技術となる。このため、認識技術によるHuman interfaceの改善が加速度的に進むと予想される。
voiceしかりimageしかりmotionしかりである。
次は、
・ Apple TV
Apple TVだって?Apple TVはもう製品化されているじゃないか、と誰もが思うかもしれない。
さてさて、図をよく見て欲しい。Apple TVで製品化されているのはプラットフォームだけであって、ディスプレイ込みでは製品化されていない。
ウワサもちらほら流れつつあるが、おそらくAppleはディスプレイが一体となったApple TVを製品化するだろう。
Appleの戦略として、ディスプレイが結構重要な位置付けとなっている。Appleの方針として、画面サイズに応じてユーザエクスペリエンスが異なるという認識がある、はずである。
iPadの画面サイズを9.7インチとしたのも、そのこだわり(ユーザエクスペリエンスを最大限満足させる)のためである。7インチサイズといった中途半端なサイズのタブレットは、今後とも製品化しないであろう。
Appleの野望の一つに、リビングの制覇があることは間違いない。
TVについてはインターネットに飲み込まれるとか、いろいろな意見があるが、誰がなんと言おうとも、TVは今もって、そして今後ともリビングの王者なのである。
ただし、Appleは単純にいまのApple TVをディスプレイに組み込んだだけの製品は出さないだろう。
当然のことながら、クラウドとの連携や新たな認識技術の組込みやiPadやiPhoneとの連携をうまく活用した"Apple TV"を製品化するはずだ。
最後は、
・Personal Assist
今後ますます、パーソナルアシストの色合いが濃くなっていくはずだ。デバイスがユーザーにとってさらに身近になるし、個人をアシストしてくれる場面が増えていく。
このためには、どうしても個人の行動履歴が必要となる。
Appleはこの行動履歴のデータを手にすることができる数少ない会社なのだ。
iTunesやApp StoreやiBooksを通じて、Appleはユーザーの購入履歴を知ることができる。
ただ、多くの人が、購買履歴を第三者が活用することを良しとしなだろう。
それでも、Appleはパーソナルアシストを前面に打ち出し、ユーザーを説得できる可能性がある。
一つは、すでにApp StoreにはGenius機能がある。これは、ユーザーの購買履歴を活用している。非常に限定的な利用なので、誰も文句を言わない。
二つ目は、Appleの経営がGoogleのように外部からの広告収入に頼っていない点がある。広告収入に頼っている会社が、ユーザーの購買履歴を活用するとなると、購買履歴を広告主に売り渡す必要がある。個人の購買履歴が、見も知らぬ広告主に勝手に売り渡されるのは、誰もが同意できなだろう。
Appleはそればできるポジションにいる。iTunesやApp StoreやiBooksの購買履歴は決っして第三者に渡ることがない。そもそも経営的な面から、Appleが第三者に購買履歴を売り渡す必要性がない。その購買履歴は、純粋にAppleのデバイスを利用するユーザーだけの為に活用されるのだ。
どうです、これだったら購買履歴を活用してもらった方がAppleのデバイスを利用するユーザーからすれば願ってもないことだ。
さて、今やAppleの株価は$400を越えつつある。Appleは、もう全てやり尽くした感を持たれる方が大半であろう。でもそれは違う。まだまだやることがいっぱいあるのだ。