WWDC2011のKey Note Speechを読み解く

今週の6月6日、日本時間では、6月7日に早朝というか6月6日の深夜にWWDC2011が開催された。WWDC2011のKye Note Speechには、ジョブズ氏も登場した。予想したよりも元気な姿であった。
さてWWDVC2011のKey Note Speechから読み解かれるのは何か。
いつもは、何が発表されるかベールに包まれたWWDCであるが、今回は事前に発表内容が告知された。
告知された内容とは、LION、iOS5、iCloudの3つだ。全て、ソフトウェアに関するものである。
WWDCの発表内容詳細は、多くの記事が発表されている。URLを参考まで掲載する。
WWDC 2011基調講演リポート
WWDC 2011 - マウス・光学メディアに引導を渡す「Mac OS X Lion」の全貌
WWDC 2011 - 独り立ちの転機を迎えた「iOS 5」、10の新機能
WWDC 2011 - iCloudは新たなデジタルハブ「PC/Macはデバイスに格下げ」

また、WWDCKey Note Speechのビデオは、AppleのHPで公開されている。2時間余りであるが、視聴していて全く飽きない。是非皆さんも視聴をオススメします。

■ LION
LIONは250を越える新しい機能が追加されているが、WWDCのKey Note Speechでは10の機能をピックアップして紹介している。紹介された10の機能を表にまとめてみた。

全般的に言うと、iOSで受け入れられてきたマルチタッチとUIを盛りこんでいる。それと作業効率のアップも念頭に置いていることがうかがえよう。
Mission ControlやLaunchPadは、起動しているアプリや利用可能なアプリが一覧表示されるので、目的のアプリにワンクリックで到達することができる。もともとOS XにはDockの表示があり、よく利用するアプリはワンクリックで起動できる。ただMac App Storeでユーザはおそらく大量のアプリをダウンロードするので、Dockだけの表示では不十分である。LaunchPadはこれを解決してくれる。
おいらが気になったのは、Photo Boothだ。Photo BoothにFace Tracking機能が追加された。デモでは、Photo Boothの画面で頭の上に鳥が飛んでいる画面が表示されるのだか、顔を移動させると鳥たちも一緒に移動するのだ。Face TrackingのAPIが利用できれば、また画期的なアプリが開発者の手によってリリースされるだろう。

iPhoneiPad)向けには、すでにFace Trackingを利用したアプリがリリースされている。
i3Dというアプリだ。Face Trackingを利用して3D表示(飛び出る3Dではなく、ちょうど窓から外を覗くと景色が移動して見えるような3D表示)が体験できる。
i3D - University Joseph Fourier

LIONは7月にリリースされる。それもたったの$29だ。日本では2600円と良心的な価格だ。円レートをきちんと反映してくれるところがいい。
注意しなければならないのは、Mac App Storeからの購入となることだ。Mac App Storeが利用できるのは、SnowLeopardからなので、Leopardの場合はSnowLeopardにバージョンアップしておく必要がある。

■ iOS
さて次はiOS5である。こちらも一覧にしてみた。

iOS5の方は、使い勝手を向上させるための機能追加が多数となった。どれもこれも便利そうだし、この機能が欲しかったよねっといった機能が追加されている。
Notification機能は通知機能であるが、アプリの動作を中断せずにPush通信できる機能でもあるので、アプリと連動した新し使い方もあるように思える。
Reminderは、通常は日時とリンクするわけであるが、iOS5では位置情報とリンクさせることもできる。例えば、あるお店にいったら位置情報を検出してToDoで知らせてくれるわけだ。Notification機能と位置情報のReminder機能をミックスして利用できれば、新しい便利なアプリも登場しそうだ。
NotificationやReminderの機能がiOS5に標準装備となるのは、クラウド側がよりユーザの行動に関与していくことを意味する。ユーザがクラウド側にアクセスすることのみではなく、クラウド側がユーザの行動に応じてユーザ側にアクセスしてくれるのだ。
WWDCのKey Note Speechの中で、一番拍手に沸いたのがPC Freeだ。多くの人が、この機能を待ち望んでいたことが分かる。これで、Post PCへまた一歩前進したわけだ。
世界を見渡せば、家庭にPCをもっていない人の方が圧倒的に多い。PC Freeによって、iPhoneiPadの普及が加速するに違いない。

iOS5のリリースは今年の秋の予定だ。待ちどうしいですね。

■ iCloud
最後はiCloudだ。ここで、ジョブズ氏が再び登場する。
ジョブズ氏もMobile Meは失敗であったと反省している。逆に言うと、iCloudに失敗は許されないのだ。
ジョブズ氏が今に時代をどう捉えているかが話される。
10年前はPCがDejital HubになりDigital Lifeを実現していた。ここ数年は全く様変わりしてしまった。デバイスが変わったのだ。Mobile Deviceが主役へと躍り出たわけだ。それと、ユーザの生活スタイル合わせて、PCのみではなく、スマートフォンタブレットPCといった複数のデバイスを利用するようになった。こうなるとユーザが所有する機器間の同期が非常に重要となる。
iCloudの発表では、同期(Sync)とそれがきちんと動くことが強調されている。
さてそれではiCloudはどのようなサービスとなっているのでしょうか。
Mobile MeでサポートしていたAddress、Calendar、Mailがサポートされる。それに今まで年間$99だったけどFreeになる。ジョブズ氏いわく、『No Ads(広告なしだ)』
AppStoreとiBooksで購入したものはiPodiPhoneiPadでシェアできる。一日一回、WiFiを通してiCloudにバックアップされる仕組みだ。
iWorkクラウド化される。最近iPhone向けのPagesやNumbersやKeynoteがリリースされたが、これもiCloudを踏まえてのものだ。
ただ、ちょっと分からないのが、このクラウド化から母艦であるMacが抜けていることだ。今回の発表だとクラウドの恩恵を受けるのは、iPhoneiPadだけだ。iWorkは完全にクラウド化されていないことになる。ただ、iCloud Strage APIsをMacやPC(WindowsPC)にも開放するということなので、いずれ解決されるのだろうか?
次は、Photo Streamだ。
写真のクラウド化である。こちらは、母艦のMacでも利用可能。それにAppleTVでも利用可能だ。クラウド化される写真は1000枚まで、30日間の期限付きだ。制限付きのクラウド化だ。
iTunesで購入したコンテンツ(音楽のみ?)もクラウド化される。
ここまでのiCloud機能はFreeとなる。それにストレージは5GBが提供されFreeだ。この5GBには、Photo Streamやコンテンツは含まない。

さておなじみのOne More Thingは、iTunesMatchだ。
これは、すでにCDで購入している楽曲やiTunes以外で購入した楽曲についても、180万曲のなかで楽曲が一致すれば、自動的に高音質(256kbpsのACC)の楽曲へアップグレードしてくれる。年間2000曲分まで$24.99の利用料金となる。

iCloudは秋にリリースされる。
今回の発表を見る限り、iCloudの機能は限定的であるが手堅い内容となっている。やはりきちんと動くこと(Mobile Meは当初きちんと動かなかった)をかなり意識しているためなのだろう。

夏はLIONで秋はiOS5とiCloudだ。さてさて、それでは冬のHoliday Seasonはどうなるのか、ちょっと気になりますね。