スマートフォン&モバイルEXPO特別講演の感想

第一回スマートフォン&モバイルEXPOの初日、特別講演が開催された。視聴してきたので、ちょっとまとめてみる。
講演者は、DoCoMo(ドコモ)の副社長である辻村氏とSoftBankMobile(ソフトバンクモバイル)副社長の宮内氏である。
講演が開催されたホールは、さすがに満席であった。

1.ケータイの今とこれから(DoCoMo副社長 辻村氏講演)
講演では、スマートフォンは今後大きく拡大するというスタンス。今拡大していると言ったスタンスでない。あえて、スマートフォンという言葉にはふれないように務めていた印象を受けた。”ケータイ”という言葉にこだわっていた印象があります。まだ、iモードの成功に固執しているのだろうか。
ガラパゴスは、日本の携帯が世界に比べ進化しすぎた結果であるという意見には同意できるが、そのノウハウを生かし、世界進出も狙って欲しかった。世界への進出といった姿勢は見えなかった。
この辺は、やはり日本の通信業を担ってきたといった自負があるからだろう。
ネットワーク事業者の課題として、データトラフィックの増大にどう対処してくが悩みのタネになっている。
Xi(クロシティ:次のLTEサービス)でもこのトラフック増大に追いつかないそうだ。そこで、1%のヘビーユーザーが30%のトラフィックを消費している現実を考えると、ヘビーユーザーにはトラフィック使用の制約を設けざるを得ないとの発言もあった。
DoCoMoスマートフォンを積極的に採用しなかったのは、スマートフォン利用によりトラフィックの増大が目に見えており、それに十分に対応できる通信インフラが整備されていないことを分かりすぎていたからかも知れない。分かりすぎたが故に、積極的にスマートフォンを採用することができなかったのではないだろうか。

いまのクラウド時代を端的に表す例として、クロシティを利用した同時通訳をあげていた。
これは、回線の高速化により、回線のレスポンス遅延が解消されたことにより実現可能となった。回線の通信速度が上がれば、クラウド側で高負荷処理を実施すればよくなり、利用する端末デバイス側に大きな処理能力は必要なくなる。回線の遅延をカバーするための処理能力を、端末側にもつ必要がないのだ。

携帯パワーの特性として、
・本人性、常時性、位置、ネットワーク、リアル世界の拡張
をあげていた。

端末のカテゴリ分けとして、
・ハンドセット(〜4”画面サイズ)、タブレット(7”画面サイズ)、タブレット(9”〜画面サイズ)
の3つに区分けしていたのだが、7”サイズは微妙との表現があった。それほど強調して言ったわけではないのだが、ちょっと気になる。Galaxy-Tabはどれくらい売れたのだろうか?

2.スマートフォンクラウド活用で実現する「ビジネス革新」(SoftBankMobile副社長 宮内氏講演)
やはりiPhoneiPadが好調なので元気がある。それに宮内氏も現場を良くご存知のようで、話す内容に情熱と説得力がありました。
こちらは、兎に角スマートフォンを全面に出した講演でした。

宮内氏の好きなプレゼン資料を最初に提示していました。内容は、”人類は革命によって生活を向上させてきた”である。
 ・農業革命:飢えからの開放→産業革命:筋力、五感の拡張→デジタル情報革命:脳機能の拡張。感動の増幅。

SoftBankで社員2万人にiPhoneiPadを配布した結果、何が変わったかを紹介していました。説得力ありです。
特に営業の方についてですが、以下をあげていました。
・プレゼンスキルのアップ、情報収集力のアップ、会議はペーパレス、社内SNSの立ち上げ

おいらも、確かに実感としてあるのですが、
・新しいデバイスクラウドを利用するという観点では、個人の方が企業よりも進んでしまった。エンドユーザの方が先を走っている。
という指摘は、その通りです。兎にも角にも、iPhoneiPadをどんどん社員に持たせて活用した方がいいと、何度も繰り返して言っていました。これは、単にセールスというよりも、宮内氏が社内で実践してみた結果から、体の底からそう叫びたいという思いが伝わってきました。

今の時代の3つの革命とは何か、をあげています。
・ICT革命
 リアルタイム、オープン、ソーシャル、(位置情報)
・サービス革命
 オープンソース : 誰もがソフト開発者
 クラウドコンピューティング : 誰もがソフト会社
 マーケットプレイス : 誰もが販売業者
 ※成功するためには、アイデアと顧客を喜ばせるものが何かをつかめればよい。
・コミュニケーション革命
 オープン、リアルタイム(見える化)、ソーシャル

 最後にソーシャルネットワークのビジネス版を立ち上げたい、との発言もありました。ソフトバンクは、クラウドサービス事業者となることも目論でいるのでしょうか?
 ソーシャルネットワークのビジネス版に思い入れがあるのは、今回の地震が発生したあとに、全国の営業部隊と取引のある納入業者の間に、FaceBook的なソーシャルネットワークをすぐに構築しました。このネットワークが被災地現場の正確な情報把握に大いに役立ったからです。
宮内氏は、企業内のソーシャルネットワークがコミュニケーションの活性化と個々人の能力活性化を促すことを期待しているようです。
転職して間もない、あるコンサルタントの方から聞いた話をあげていました。そのコンサルタントの方は何をしているかというと、結局現場で働く担当者の声を整理しなおしてトップに進言しているだけなのだ、と話してくれたそうです。(コンサルタントの方が全員そのようであるという訳では勿論ありません。)企業の中で、上下関係間の情報流通がいかに貧弱かをうまく伝えています。
ただ、企業も組織なので、上司やトップが知らぬ間に物事が運ぶことは避ける必要がある、と一言付け足していましたが、企業内のソーシャルネットワークが、今までの組織を大きく変えていく可能性を感じました。