Gartnerの発表に見え隠れすること

先日GartnerからSmartPhoneのシェア推移予測が発表されたが、数日たって今度はTabletPCのシェア推移予測が発表された。記事から推移の表を引用する。

先日のブログでSmartPhoneのシェア推移予測をグラフ化し紹介したが、同じようにTabletPCのシェア予測をグラフ化してみる。
さらに、SmartPhoneとTabletPCを合算したシェア予測をグラフ化してみる。


TabletPCの販売台数推移をみて分かることは、SmartPhoneと同様、今後爆発的に販売台数が伸びることだ。
2011年には、約7千万台、2012年には1億台を越え、2015年には、3億台に迫る勢いである。
シェアの推移を見ると、しばらくはiOS(=Apple)が60%以上のシェアを獲得しているが、SmartPhoneと同様に、Androidのシェアが急伸し、2015年にはiOSのシェアは50%をきってしまう。そうは言ってもこの分野において、iOS(=Apple)の独走がしばらく続くことに変わりはないのだ。

このGartnerの発表を見て、ちょっと奇妙に思った。それは、Microsoftの名前が無いのだ。確か今年の初めに、Microsoftは次期WindowsでARMをサポートすると発表した。これはTabletPCの市場を意識してのことだ。ARMをサポートするWindowsがいつリリースされるかについて、明確な時期がアナウンスされなかったが、それにしても2015年までにはサポートされるはずだし(Microsoftが本気であれば。)、シェアがゼロということはないであろう。これは逆にいうと、GartnerはTabletPCの市場ではMicrosoftにまったく勝ち目がないと予測しているのと等しい。

次にこのTabletPCの推移にSmartPhoneの推移を合算してみる。両分野とも爆発的に市場が拡大するので、販売台数の伸びも半端なものではない。
PCの市場(OSはWindowsが独占)は、Gartnerの発表記事にもあるが、ほぼ横ばいだ。2010年のPC販売台数は、3億5千万台程度である。これから推測すると、2011年も3億5千万台前後と推測される。
一方、SmartPhoneとTabletPCを合算した台数は、2010年で約3億1千万台だ。2011年の予測は、なんと5億3千万台を越える台数となる。一気にPCの販売台数を抜き去ってしまうのだ。これは、本格的なポストPCの時代が到来することを意味する。

さて、SmartPhoneとTabletPCを合算したグラフから何が読み取れるであろか。Gartnerの予測では、2015年のMicrosoftのシェアは、2012年のMicrosoftSymbianの合計したシェアをかろうじて維持できる程度となる。おそらくそれも、2012年以降SymbianからMicrosoftへの以降がスムーズにいったとしてのことだ。それを考えると、Gartnerが予測している2015年のシェア獲得は非常にハードルが高いことになる。おそらく、Gartnerの予測した数値よりもかなり低い数値になるのではないだろうか。
となると、SmartPhoneとTabletPCの市場は、AndroidiOSで独占されることになる。AppleGoogleはお互い反目しあっている報道が目に付くが、実は反目しあっていないのだ。SmartPhoneとTabletPCという爆発的に成長する市場において、かつてのPC市場と同じようにMicrosoftが独占することを排除することにおいて協力しあっているのだ。
SmartPhoneとTabletPCの市場からMicrosoftを締めだすこと、ひいてはPC市場でのMicrosoftの独占を揺るがすことが、AppleGoogleの共通した戦略なのである。
AppleGoogleの戦略はSmartPhoneとTabletPCの市場以外にも共通している。既存のビジネスモデルの破壊である。音楽業界しかり、書籍や新聞市場もしかりである。いずれキャリアのビジネスモデルも破壊してしまうかもしれない。