iPad2はPost PC Deviceとなった。

2011年3月2日（日本時間の3月3日午前3時）のApple Special Eventで待望のiPad2が発表された。
Special Event のビデオを観てつくづく感じたのは、Steve Jobs氏が言う如く、iPad2はPost PC Deviceとなっことだ。そして、最近のSpeechの最後にいつも掲示されるる、”TECHNOLOGY”と”LIBERAL ARTS”が交差する理想的なデバイスをiPadで実現したことである。

iPad2の発表前は、Retina Displayが搭載されることやSDカードのIFが標準装備されることや、いろいろと期待感があり、多くの人は、今回のiPad2の機能面での驚きは少なかったのではないだろうか。
ただ、今回の発表のビデオをよくみると、iPad2は確実に進化しており、Post PC Deviceにふさわしいものであることを、実感した。Steve jobs氏もビデオの中で何回も繰り返しているが、Post PC の時代に突入したのだ。ハードウェアとOSとアプリが渾然一体となる時代に突入したのだ。
さて、それではSpecial Eventを読み解いてみる。今回のキーワードは、次の３つだ。

■アカウント
何といっても、iTunesのアカウントが２億人あること。iTunesやApp storeやiBooks経由のコンテンツやアプリ購入が、”1-click purchasing”で実行できることだ。
いまのAppleの躍進の一つに、豊富なアプリの提供にあることは、誰もが認めるだろう。その豊富な様々なアプリの購入が、一つのIDでかつワンクリックで実行できることは、購入者側からみても非常に便利だ。この２億人のアカウントをもっていることは、お金を回収するフローをもっているわけで、もしかしたら、Appleは他のビジネスにも利用するかもしれない。
■マルチタッチインターフェイス
今回は特に、マルチタッチインターフェイスの重要性をつくづく感じた。おいらが一番びっくりしたのは、Garage Bandのアプリだ。いまさら気づいたのであるが、ピアノのデモで和音が弾ける。これは、マルチタッチじゃないと絶対無理だ。
人間は道具を使うことによって、猿から進化した。そしてその道具は、人間の指で操作するものだ。いかなる道具も、人間の１０本の指で操作される。マルチタッチによって、初めてPCも人間がダイレクトに操れる道具へと変化することができるのだ。PCは、マルチタッチインターフェイスによって、人間が直接触れられる道具へと進化することができたのだ。
Garage BandはもともとiMacに標準搭載されていたが、これは曲作りのための道具であり楽器を使う為のものではなかった。iPadに搭載されるGarage Bandは、楽器を使う楽しさを与えてくれる、全く異なるでデバイスへと進化した。（Garage Bandのデモビデオでは、もっと凄いことも分かります。）
■コミュニケーション
何といっても、iPad2でFaceTimeが利用出来ることは画期的なことだ。これによて、iMac−Macbook−iPhone−iPadでのコミュニケーションの輪が完成したことになる。（厳密にいうと、AppleTVにはFaceTimeは搭載されていない。もし仮に、AppleがTV自体をリリースするとなれば、当然FaceTimeの機能を搭載するであろう。それともAirPlayでFaceTimeを実現してしまうという手もあるが。）
今回リリースされるiOS4.3でPhoto Boothが利用可能になった。ちょっと驚いたのは、デモをみても分かる通り、前面のカメラから取り込んだ自分の顔を、９つのパターンで画像加工されたものがストリーミングされて表示される。これがA5Chipで実現できてしまうのだ。驚くべきパフォーマンスだ。それに、これってFaceTimeでマルチアクセスができる可能性を秘めている。FaceTimeでマルチ画面が実現できたら、ビジネス用途に爆発的に普及するだろう。

それでは、以下にSpecial Eventの内容を紹介する。
まずSteve Jobs氏の登場だ。事前に今回のSpecial EventでSteve Jobs氏が登場するかも知れないといった情報が流れていたが、壇上に立つSteve Jobs氏はいたって元気だ。この姿をみて、おいらも安心しました。

iTunesのアカウントは、２億人だ。iTunes store、App store、iBooksからワンクリックでお手軽に商品を購入できる。

iPad2にはA5が搭載される。Tabletとしては、初めてのデュアルコアだ。CPU性能は、初代iPadに比べ２倍アップ、グラフィックス性能は９倍アップした。それでいて消費電力はA4と同じだ。バッテリーの寿命も変わらずだ。１０時間いける。

それに薄くなる。１３．４mm厚が、８．８mmになる。これは、iPhoen４よりも薄い。当然重さも軽くなる。WiFiモデルが、６８０ｇから６０１ｇになる。

気になる価格は、据え置き。但し、このSpecial Eventでは発表されていないが、初代iPadはプライスダウンされる。米国での販売は３月１１日であるが、日本は３月２５日になる。思ったより早くリリースされます。

注目はSmart Coverだ。見た目は、日本のお風呂で使うバス用カバーに似ている。使い方は、こんな感じで、iPad2の表示部のカバーにもなるし、iPad2のスタンドにもなる優れものです。ビデオをみれば一目瞭然なのですが、不思議なくらいにぴたっとiPad2にフィットします。マグネット式なのですが、これほどピッタとフィットすることは驚きです。それに、カバーの開閉で、iPadがスリープモードやウェイクアップモードに自動的に移行します。むむっ、これも不思議です。SmartCover側とiPad2本体側に何かセンサーが埋め込まれているのでしょうか？

そして、iOS4.3が発表されました。Safariのパフォーマンスアップ、iTunesにあるライブラリーのシェア機能、AirPlayの自動接続、iPadのサイドにあるスイッチをMute機能にするかRotation機能にするか切り替え可能（多くのユーザの声を反映しています。この辺もAppleっぽい。）、Personal hotspot機能（iPhone4をWiFiスポットとする機能。これは残念ながらソフトバンクはサポートしない。うーーん、でも是非ともサポートして欲しいですね。iPheon5はCDMAもサポートされるはずだから、もしかするとauからiPhone5が発売されるかも。そうなるとauのことだから、Personal hotspotを解禁にするかもしれませんね。そうすれば、ソフトバンクもPersonal hotspotを解禁に踏み切らざるを得ません。）

次は、Photo Boothです。Photo Booth自体面白いアプリなのですが、驚きは、画像加工された９パターンの画面が、ストリーミングされることです。A5のチップでもここまでできてしまうのですね。

FaceTimeです。ハッピバースデイツーユー、です。いい感じですね。大きな画面だと、喜びも倍増しますね。

iPad版iMoveが格安の＄４．９９でリリースされます。やはり、大画面でのタッチ操作はぐんっと操作性をアップさせてくれます。iMacで使うよりiPadで使う方が使い勝手がよさそうです。これもタッチインターフェイスの勝利です。

そして、Garage Bandです。おいらは、一番びっくりしました。価格も＄４．９９と破格です。これ見てください。和音を弾いています。マルチタッチ可能なので、当然と言えば当然なのですが、iPadが本物のピアノになってしまいました。

このドラムも抜群にいいです。この写真では、右上のシンバルをたたいています。シンバルの中央部とシンバルの端をたたくと音色が違います。すごい！の一言です。実際のシンバルを叩いた音色を再現させようとしているAppleの執念に感服しました。

ギターにいたっては、弦をびろーんとさせることもできて、まるで本物みたいな感覚を味わえます。Garage Bandはヒットしますね。曲を作ることもさることながら、楽器を演奏する楽しさを味わえさせてくれます。

最後は、どうやってあの薄さを実現したのかを探ってみます。
まずは、初代iPadの分解写真を見てみます。バッテリーがやはり大きくてごつごつした感じです。それにCPUが搭載されているメイン基板もまだ大きいです。

次に、iPhone４の分解写真を見て下さい。CPUが搭載されている基板が、iPadと比べるとかなり小さくなっていることが分かります。それに、何と言ってもバッテリーの形状がすっきりしていますね。iPad２にはiPhone４の進化が反映されているはずです。

iPad２の分解写真はないのですが、紹介ビデオにその一端を覗かせてくれる映像があります。まず、ボディです。底部のボディはスクエアなデザインですっきりしています。

次は、部品が実装された状態のX線写真です。まず、バッテリーがきれいに３つ配置されていることが分かります。バッテリーもごつごつした感じはなく、iPhone４と同じようにスクエアでかなりすっきりしています。バッテリーの左側の中央よりやや下にあるのが、おそらくメイン基板と思われます。初代iPadと比べても、かなり小さいですね。バッテリーとメイン基板をすっきり小さくできたことによって、この薄さが実現できています。

この写真は見ていて飽きません。なんともビューティフルだからです。iPad２が、隅々までArtの心で作られていることが分かります。
iPad2は、TechnologyとArtを、まさしく融合したデバイスです。Post PCにふさわしいデバイスです。
３月２５日の発売が待ち遠しいですね！