Better than Free (フリーを越えて)

TOC2011でのKevin Kelly氏のKey Note Speechの記事が、非常に興味深いものでしたので紹介します。Kevin Kelly氏は、Wired magazineのexecutive editorです。Key Note Speechの模様はこちらです。(約25分と長いですが、内容はすごくいいです。)

Key Note Speechの内容をまとめてみます。
Key Note Speechの中で、世の中の流れを捉えるキーワードを6つ提示しています。
Screening、Interacting、Sharing、Accessing、Flowing、Generatingの6つです。最後の”Generating”にはKey Note Speechの主題でもある、”Better than Free”に関するキーワードがさらに提示されています。
”Better than Free”に関するキーワードは、Immediacy、Personalization、Authentication、Findability、Embodiment、Interpretation、Accessibility、Attentionの8つである。

■Screening 今の世の中いたるところにScreenが存在しています。そしてそのScreenは、あらゆるメディアと接続されています。TV、film、video、phone、podcasts、newspaper、books、music、email、blogs、websites、magazine、radio等のあらゆるメデイアのウィンドウがいたるところに存在しています。これが今の世の中の状況ですし、今後いたるところにスクリーンが登場(設置)されていくことでしょう。そして、そのスクリーンは、あらゆるメディアのウィンドウとなっているのです。
■Interacting iPadの例をあげています。子供たちは、iPadに夢中です。iPadは、指によるインタラクティブ性を実現したものですが、ジェスチャー(Bodily conversation)によるインタラクティブ性が今後は重要になると言っています。これは、おいらも同感ですね。
 本を読むことにインタラクティブ性をもたらす例として、Eye Trackingをあげています。Eye Trackingによってその表示されている何に興味があるのかトラッキングできます。
iPad2にはおそらく前面にカメラが搭載されるはずです。このEye Trackingを用いた新しいサービスが登場するといいですね。読者が何に興味があるのかを自動的にトラッキングして、興味を持ちそうな、別の本や記事や商品を紹介したりすることもできます。
■Sharingreadingとは個人的なものであったが、readingをシェアすることによって、Social Activityが生まれる。例えば、本の注釈をシェアする。本と本をハイパーリンクさせる。今や、 ideaをシェアする時代である。そして、Social reading とSocial writingは同時に発生するといっています。
いま、”シェア”という言葉がはやりです。”シェア”には、モノのシェアもありますが、このアイデアをシェアすることも大事ですね。
■Accessing(Not owing)これは人々の意識が、OwnershipからAccessへ変化していること示しています。コンテンツを所有する必要はありません。アクセスできればいいのです。
Access is better than Ownership”です。
■Flowing Streamingがどこにでもあります。Always onです。いつも繋がっています。
■Generating(Not copying)Kevin Kelly氏は、インターネットはコピーマシンであるといっています。これはどうにも避けがたい事実です。全てのデジタル化されたものは、コピーでき、結局すべてがフリーに向かわざるをえません。それでは、人々は何に価値を見言い出すのでしょうか。Kevin Kelly氏は、コピーできないものやコピーできないことが、価値を生み出すと言っています。
冒頭、KindleはいつになったらFreeになるのかと言っています。KindleのPriceが下降していくグラフが示されます。KindleのPriceはきれいな直線で下降しています。その行き着く先のPriceは、ゼロ(=Free)です。Kevin Kelly氏はいっそのこと、$0.99で本を販売したらどうかとも提案しています。すべてのものがFreeまたはFreeに近いPriceになったら、人々は何に価値を見出すのでしょうか?
Kevin Kelly氏は”Better than Free”として、8つのキーワードを提示しています。
Kevin Kelly氏のいう”Better than Free”とは、まず、Immediacyです。これはいづれコピーがでまわるが、それを待てない人々は、今目の前に存在しているものにお金を払います。Personalization、これは個人向けのカスタム化。Authenticationは、本物であることです。Findabilityは、見つけやすさ。Embodimentは、具現的なもの。音楽でいえば、ライブコンサート。Interpretation、解説とでもいいましょか。Accessibilityは、アクセスのしやすさ。ここではiTunesの例があげられています。Attention、注意をひくこと。但し、”Better than Free”についてはKevin Kelly氏のブログにも記事が掲載されていますが、ブログのほうではPatronageとなっています。こちらは、支援や援助となります。
”Better than Free”とは何か。上にかかげた8つのキーワードは、Kevin Kelly氏の考えですが、私達もちょっと胸にてを当てて、すべてのものがFreeになったら、人々は何に価値を見出すのかを思考実験してみるのもいいかもしれません。
すべてのものがFreeになったら、あなたは何に価値を見出しますか?