ジョブズ氏の休養宣言に思うこと。

2011年1月17日から18日にかけて、AppleのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏の休養宣言のニュースが流れました。
ラウンドアップ:ジョブズ氏が再び医療休暇--影響はいかに
ジョブス氏が、社員宛に送付したE−Mailは次のような内容です。これはAppleのHPにも掲載されています。
”Team,
At my request, the board of directors has granted me a medical leave of absence so I can focus on my health. I will continue as CEO and be involved in major strategic decisions for the company.
I have asked Tim Cook to be responsible for all of Apple’s day to day operations. I have great confidence that Tim and the rest of the executive management team will do a terrific job executing the exciting plans we have in place for 2011.
I love Apple so much and hope to be back as soon as I can. In the meantime, my family and I would deeply appreciate respect for our privacy.
Steve”

やはり、一番の心配事は、Appleの後継者問題です。Appleの最大の強みは、Appleスティーブ・ジョブズ氏がいることであり、最大の弱点は、スティーブ・ジョブズ氏の後継者が明確でないことです。
株価も一時的に下落するしょう。
でも心配はいりません。ジョブズ氏の早期の復帰は心から願うばかりですが、心配はいりません。
まず、2011年のAppleの新製品の路線は、概ね決定しているからです。その路線の基盤固めは2010年で終了しています。また、今後のこの業界、ただ”業界”と一括りで言い表せるるのは難しいですが、インターネット、モバイル、TV(リビング革命)の進むべき路の方向性は、2010年に種がまかれているからです。
2011年のApple新製品の路線は明確です。iPad2の発表。これは、iPhoen4の成功(ビデオ電話。Retina Display)を受け継ぎかつ性能アップさせる(利用出来る範囲をパーソナルからオフィスへ展開する)のです。
そしてiPhone5の発表があります。iPhone5はハードウェア的には、iPhone4程の大幅な変更はないでしょう。おそらくNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)の搭載程度と予想されます。
夏には、Mac OSのアップデート(Lion)が控えています。
そしてAppleTVのバージョンアップ(これはあくまで予想です。)があるでしょう。
さて2010年の基盤固めとはなんだったのでしょうか?
まずは、iPhone4です。iPhone4の発表をみて最初に感じたことは、非常に完成度が高いということです。(これは、特に、おいらも昨年末に3GからiPhone4に切り替えましたが、iPhone4の完成度の高さを深く感じている今日この頃です。)他のメーカはしばらくの間は、iPhone4を目指して製品化を続けるでしょう。おそらく、SmartPhoneのスタンダードとしてiPhone4は認知されるでしょう。
そして、iPadです。iPadは極めてエポックメーキングな存在です。ジョブス氏は、マイクロコンピュータを技術者の手から、一般の人に開放する為に、AppleIIを製品化しました。そして、iPadによりPCを万人に開放したのです。iPadは今年さらに爆発的に普及するでしょう。
忘れてはならなのは、AppleTVの完全リニューアルです。これで、AppleTVによるリビングステーションの足固めができました。
そして最後は、”Back to the Mac”と次期OSであるLionの発表です。これで、Mac OSiOSの方向性が統合されました。UIの統一性とアプリ主体の戦略(アプリでユーザを囲い込む戦略)です。
ちょっと話はそれますが、AppleのLionの発表とMacAppStoreのリリースで最近思うのは、過去は、”OS”というものが重要視されていましたが、今後は、アプリがさらに重要視されるのではないでしょうか。過去においては、OSがPC選定の重要なキーワードでしたが、今後はどんなアプリが動くのかがさらに重要になるのではないでしょうか。”アプリの時代”といってもいいかもしれません。
閑話休題
2010年は、振り返ってみると、今後のAppleの経営基盤を固めるための製品が矢継ぎ早に発表されました。それも、今から考えると非常に入念な戦略をもとに発表してきたことがうかがえます。そうなのです。最近のAppleの製品には失敗作がありません。この製品戦略を、決してジョブズ氏一人で練り上げることはできないでしょう。優秀なブレイン・チームがいるはずです。ジョブズ氏は、その製品の完成度(その製品を成功させるため)には口うるさくするにしても、製品戦略をすべて一人で練ることはできないでしょう。非常に優秀なブレインがいるはずです。

そうなのです。心配はいりません。それになんといってもAppleAppleの会社のみではなく、Appleを愛する多くのユーザに支えられているのです。考えてもみて下さい。PCが誕生してから、今の時代まで生き残っているメーカってApple以外にありますか?(ワールドワイドで生き残っているメーカという意味でです。)
ジョブズ氏の思考のDNAは当然ながらAppleの経営陣には受け継がれているはずですし、なんといっても多くのユーザにそのDNAが埋めこまれているのです。
ですから、心配はいらないのです。(そうは言っても、早く元気になって復帰して下さいね。心から願っております。)