Kinectは破壊的イノベーションとなりうるか

Microsoftから2010年11月に、Kinectが発売された。評判は概ね上々である。発売後、60日間で800万台も売れた。1月5日のCESで報告された数字だ。
この新しいUIは、爆発的に普及するのだろうか。それとも、いっときの物珍しさで終わってしまうのだろうか?
Kinectを家族で体験した記事があったので紹介します。
PCWatchに掲載されたKinectがゴトウ家にもたらした大きな変化とはが、Kinect購入の顛末と、各世代にどのように受け入れられたのかをうまくまとめています。
ポイントは、長女の反応である。
Kinectで仮想のペットと遊んでいるうちに、結局本物の生きたペットを飼いたくなったそうです。
そうなのだ、”リアルにはかなわない”のである。これがKinectの限界である。
もうひとつの反応は、マシンが自分を認識してくれることを当たり前と思うようになったことだ。
そう、これがKinectの大いなる可能性なのである。
Kinectの価値は、安価な(一万円台である。)高機能認識マシンの登場というところに意味がある。ゲーム用マシンというより、認識マシンとしての位置づけに意味がある。それも誰でも手に入れることができる程安価だ。Amazonであれば、一万円ちょっとで手に入る。

Xbox 360 Kinect センサー

Xbox 360 Kinect センサー

高機能マシンが価格破壊を起こせば、新たな市場を切り開くことができる。Kinectは、破壊的イノベーションとなりうる、十分な可能性を秘めているといえるだろう。
Kinectを、Xbox360のみに封じ込めておくのは、大いなる損失だ。
それを裏付けるように、Kinectのハッキングが盛んだ。
Kinectをハッキングした例を紹介した記事がある。こちらの方が、Kinectの可能性をうまく表現しているのだ。
コードが公開されたKinectにハッキングの秀作が続々登場

そして、ゲーム機以外にも応用が広がっていくのである。Kinectの可能性はこちらだろう。
Kinectの技術、ASUSのパソコンやHaier製テレビに波及へ CES2011

Kinectを開発した、PrimeSense社が中心になりドラーバーをオープンソース化しています。Kinectのベースとなる技術を世の中に広く浸透させようとしています。
PrimeSense社ドライバーを公開、オープンソース・コミュニティOpenNIを開始

応用例もたくさんでてきています。
オープンな Kinect 3Dセンサーの応用例 最新情報(日本人技術者の活躍やデモビデオなど)!

さてPrimeSense社が開発したKinectはどのような機能があるのだろうか?
Kinect Teardownの記事はこちら。
Microsoft Kinect Teardown

Kinectを構成する機能ブロック図をPrimeSense社のHPから引用します。

構成される基本機能は、RGBセンサー、深度測定です。
PrimeSense社のHPに記載されているスペックをみると、かなり精度は高いですね。上で紹介した記事に掲載されたビデオが実現できることが頷けます。
・認識範囲は、0.8m〜3.5m
・XY方向の解像度は、センサーから2m離れた箇所で3mm
・Z方向(深度)は、センサーから2m離れた箇所で1cm

おいらも、ちょっと応用例を考えてみました。
ジェスチャーパスワードです。声とジャスチャーを複合させたパスワードです。ちょうど、アリババが使っていた”開けゴマ”のような音声認識ジェスチャーを組み合わせたパスワードです。
骨格の位置関係や身長といった体型を元にした認識も可能かもしれません。

Kinectがどのように変貌していくのか、目が離せませんね。