ライフログ入門

美崎薫さんの”ライフログ入門”を紹介します。

著者の美崎さんは、ライフログという言葉が流布する以前からライフログを実践しています。
著者自身はLifeLogと言うより、LifeLeafと言う言葉を主張しています。
確かに、LifeLogと言うと、ちょっとお硬い感じがしますが、LifeLeafと言った場合、非常にソフトで、人生が積み重なっていく感じがありますね。
本著は、著者が長年に渡り実践してきたライフログについての生の声が書き出されている、非常に貴重な本でもあります。

著者は、ライフログと言う言葉が存在する前からライフログを実践しています。俗に言う記録魔です。
おいらもブログで取り上げましたが、ゴードン・ベル氏がライフログを実践したよりも以前から、ライフログを実践しているのです。
記録魔の例として、かの江戸川乱歩貼雑年譜が取り上げられています。江戸川乱歩も記録まです。
記録魔とはライフログの先駆者なのです。
ライフログを実践する環境は昔に比べ格段に改善されています。
デジカメ、多機能なスマートフォン、記録すべき情報をほぼ無限に蓄積できるストレージが安価に手に入ります。
そしてクラウドによりいつでもどこでも参照や登録が可能となったIT環境が整備されています。

本書の例としては、主に日常の作業を効率化することによるメリットが多く紹介されいます。そのなかでちょっと気になる応用例がありました。買い物メモがたまると自動的にスーパで買い物ができる例の画像が掲載されています。詳細は記されていなのですが、家庭で日常的に必要な品物を記載しておくと、ネットスーパのチラシをもとに最安値のスーパを自動で抽出して知らせてくれるアプリがあったら便利だと思いました。(ライフログ関連のアプリは、いろいろとバリエーションがありそうですね。)

さて、ライフログによって情報を蓄積する意味とは何なのでしょうか。
それは蓄積された情報が、新たな価値を生み出すからなのです。
断片的な情報には価値がなく、網羅的及び連続的に蓄積された情報に、新たな価値があると言うことなのです。

そうはいっても、ライフログの記録の難しさがあります。
何を記録すればいいのでしょうか。ライフログが対象すべき情報は多岐にわたっています。
本書にも記されていますが、日常で処理される項目は1000項目以上もあります。
ちまたでサポートされているのは、日常生活の中の、ごく一部を切り出したものしかありません。

本書にも書かれていますが、多くの項目に内在する暗黙知をどうかたちにするのか、暗黙知をどう浮かび上がらせるのかが、ライフログの最終目標なのかもしれません。そしてライフログのデータをもとに、その人の人生を支援することにあります。

ライフログを突き詰めていくと、ライフログのデータに対しても、検索が必要となります。
検索をより有効にするためには、本書に書かれている辞書によるフィルタリングが重要です。
検索する言葉をパーソナルな辞書を通すことによってフィルタリングし、その人にとって最適な結果(ライフログのデータ)を抽出するのです。この考えは、現在の検索技術を改善する考えにも通じます。
言葉は、シチュエショーンによって意味することが異なってきます。例えば、年賀状を書いていて”新宿”と検索すれば、それは、新宿の郵便番号が一番フィットした検索結果となります。歩いていて”新宿”と検索したら、いまいる場所から新宿への道順が検索される(自動的にMapを表示してくれる)のが、一番フィットした検索結果です。
検索する人のシチュエショーンや嗜好や行動傾向を理解することによって、最適な検索結果を提示することができたらどんなにか素晴らしいでしょうか。

ライフログのデータはクラウド化しますが、その先には、再度ローカライズされたライフログデータの蓄積母艦が出現するのではないでしょうか。
恐らく、10年後には、当然クラウドは当たり前なのですが、個人でサーバーを持ち、パーソナルなデータを個人で蓄積管理する時代が到来するのではないでしょうか。個人でサーバをもつのは、当たり前の時代になるのではないでしょうか。

さてさて、そうはいっても実践してみないとライフログの意味を身を持って感じることはできません。
まー、ブログも一種のライフログみたいなものですが、おいらももう少し本格的にライフログを実践してきたいと思います。今年の目標の一つにしたいと思っています。(不精なので、どこまでできるか定かではありませんが・・・)