ソーシャルメディアはどこに向かうのか?

ソーシャルメディア維新”を読んだ。オガワカズヒロ氏(小川浩氏及び小川和也氏の合作名)の著作である。

ソーシャルメディア維新 ?フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図? (マイコミ新書)

ソーシャルメディア維新 ?フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図? (マイコミ新書)

最近は特に、IT関係のニュースをみても、”ソーシャル”といったキーワードが頻繁にでてくる。本著は、その”ソーシャル”が、今後のインターネットの勢力図を塗り替える存在であることを書いています。
”ソーシャル”が今後いかに重要であるかがよく分かります。
さて、この本の帯にも書かれていますが、何故にGoogleFacebookをそれほど恐れているのでしょうか。
まずは、本著でも指摘していますが、ウェブのトラフィックFacebookに抜かれたこと、そしてFacebook保有している個人的情報が広告媒体のターゲットとなりうること、です。特に、広告媒体のターゲットが”検索”から”ソーシャルメディア”に移行した場合、Googleの屋台骨がゆるぎかねません。
この辺の状況をうまくまとめた記事があります。
GoogleがFacebookに負ける(かもしれない)理由

この記事に書かれている、GoogleFacebookを恐れる理由が2点あります。
一つ目は、かなり重要な指摘です。Facebookの内部で共有されるやり取りや情報が増加しており、Facebook自体が、ある種の”ワールド・ワイド・ウェブ”を形成している。しかしGoogleはこのFacebookで形成されている”ワールド・ワイド・ウェブ”にアクセスすることが出来ないのである。Googleの最大のアドバンテージは、”検索”という武器をもとに、”ワールド・ワイド・ウェブ”の全てを把握することにあったが、それを許さない巨大なコミュニティが誕生してしまったのだ。Googelもこのような事態になるとは予想していなかったに違いありません。なんせ、Facebookのユーザ数は5億人を越えるのだ。この5億人の世界の中でやるとりされるコミュニケーションは、また別の”ワールド・ワイド・ウェブ”を形成していると言えます。
二つ目は、よく言及されることです。Facebookには利用者のプロフイールが細かく記載されており、それがターゲット広告に利用出来るというものです。

それでは、この”ソーシャルメディア”が何故にそれほど重要なものとなるのでしょうか?
本著では、次のように書かれています。
”すべての社会生活が瞬時にネットに反映され履歴を残していく世界”に移行しつつあるからです。この原動力は、通信インフラの整備とMobile端末の爆発的普及にあります。
ちょうど、人間の社会生活における行動が、ネットの世界に鏡像として存在し始めているからです。現実世界がより色濃くネットの世界に反映され、その情報が大きなパワーとなっていくのです。
今後この”ソーシャルメディア”は、どのような方向に向かうのでしょうか。気になった記事がありますので紹介します。
まずは、NingのファウンダーでありCEOでもあるGina Bianchiniさんの投稿記事です。
ソーシャル(S)は群れるSから多くの「個」が輝くSへ: 次世代Sが成功するための7つの原則

次は、ソーシャルメデイア研究所代表取締役の熊谷仁美さんの記事です。(両者とも女性ですね。横のコミュニケーションを拡大することは、女性の得意技なので、なんとなく納得してしまいます。)
Facebookで「個人の時代」が加速する?〜個人ブランディングツールとしてのファンページ、検索対策からキラーコンテンツまで、ノウハウ大公開

二つの記事で指摘している共通項は、”個人”というものがさらに重要な要素となっていくということです。”個人”を輝かせることが、ますます重要になっていくと指摘しています。
確か”自分ブランドの確立”は、あの勝間さんも著作”目立つ力”の中で主張していました。

ネットの時代をちょっとおさらいしてみます。”検索”と”ソーシャル”が”広告”というキーワードで一緒くたにされがちですが、本来は発展する方向が異なっていると言えます。
・巨大な情報流通網の形成→現実世界をすべてをビット化へ→膨大な情報から必要な情報の抽出→検索技術の発展
・巨大な情報流通網の形成→コミュニケーションの流通(人間社会の反映)→コミュニティの形成→ソーシャルメディアの発展
検索技術は、残念ながらすでに存在している情報に対する行為なので、それ自体が人間社会に影響を及ぼすことはありません。(どのようなキーワードが多く検索されるかを分析して、人間社会の興味の動向を判断することはできます。)
ソーシャルメディアは、人間の社会生活が反映されるので、再度人間社会にフィードバックし影響を及ぼすことができるといえます。

ソーシャルメディアの一つでもあるTwitterのData StreamingをMapingしたビデオがあるので紹介します。
Mapping a Day in the Life of Twitter

ここで紹介されているビデオをみると、Twitterが”生き物”であることがよく分かります。白い点滅は、まるでTwitterが呼吸をしているようです。ビデオの途中で、米国の東から西へTwitterのData Streamingが伝搬していきます。これは、Twitterが提供するローカルニュースのサービスによるものだそうですが、おそらくTwitterによるクチコミとかもこのように一瞬で伝搬していくのではないでしょうか。