スティーブ・ジョブズの言葉
”スティーブ・ジョブズ 名語録 人生に革命を起こす96の言葉”を読み終えた。桑原晃弥氏の著作である。
- 作者: 桑原晃弥
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2010/08/02
- メディア: 文庫
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どれかいい言葉を抜き出そうとしましたが、そうなると掲載されている言葉を全部抜きだすことになるのでやめました。
全体を読み通して感じたこと(ジョブズの言動の底流にあるもの)を三つにまとめてみます。
■ 常識にとらわれない発想。
気にいったのは、ビル・ゲイツとの交渉の場での言葉です。
”ビル、二人を合わせるとデスクトップの100%を押さえている。”
常識にとらわれると、”数字”が頭の中で優先し、どうしてもその数値にこだわってしまいます。実際は二人足せば100%ですが、ゲイツが97%ジョブスは3%のシェア(OSのシェア)をとっているに過ぎません。常識にとらわれると、ここまでの言い方はできません。逆に数値的に優位であれば、その数値を全面に出しますが、数値的に劣勢な場合は、通常はその数値には全く触れないで、別の切り口から交渉するのが常道です。
例えば、私の会社と組めば未来が開けるよ、とか私の会社はこの分野では独自のノウハウをもっており、私の会社と組めばあなたの会社はこのノウハウをうまく使ってもっとビジネスを増やせますよ、とかなるべく自分が劣勢な数値から切り離そうとするものである。
ジョブズはそのような常識にはとらわれないで、二人がこの業界を支配しているのさ、といった発想へ転換してしまうのだ。
この発想を転換させてしまうのが、”現実歪曲空間”なのかもしれないですね。
■ 成し遂げたいという、強い意思。
”CEOは私だ。その私が可能だと考えている。”
iMacを完成に導いた言葉だ。当初技術者たちはiMacの製品化を不可能と言い張ったそうだ。その反対を押し切り製品化を成し遂げさせた言葉だ。
この一言は、人をぐいぐいと引きつけるし、その中に、ジョブズがどうしても成し遂げたいことがあるのだという、強い意思が感じられます。
■ クリエイトすることへの追求。
”偉大な大工は、見えなくてもキャビネとの後ろにちっちゃな木材を使ったりしない。”
”君たちは技術と文化を融合させるアーティストだ。芸術家は作品にサインするものだ。”
細部に対するこだわりは、この本以外でも、その完璧主義者の一面をしばしば取り上げれれますが、ジョブズの完璧主義者のエピソードを読むたびに、おいらの頭の中をいつも過るのは、黒澤明のことです。黒澤明も同じく完璧主義者であり、細部にこだわり、見えないところにも細心の注意を払った人物です。
一つの例として、あの”赤ひげ”があります。加山雄三扮する保本が、研修医の森と小石川療養所の一室で、薬草から薬を擂っているシーンです。二人の背後には、薬草を収納しておく小さな抽斗の棚があります。映画の中では、この抽斗から薬草を取り出すシーンは一切ありません。それでも黒澤明は、この抽斗の中に、本物の薬草を入れておいたそうです。これぞ細部へのこだわりです。
スティーブ・ジョブズは、黒澤明のことをどう思っていたのでしょうね。気になります。
本書では、副題の通りジョブズの96の言葉とエピソードが収められています。
同様の本として、林信行の”スティーブ・ジョブズ 成功を導く言葉”もオススです。
スティーブ・ジョブズ 成功を導く言葉 (青春新書INTELLIGENCE)
- 作者: 林信行
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2009/06/11
- メディア: 新書
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