明日のテレビ

志村一隆著”明日のテレビ”を紹介します。Google TVが発表されてから、”テレビ”とは一体何なのか?どうなっていくのか?が気になっていました。そして、米国のTV事情も知りたくて、本書を購入しました。

明日のテレビ チャンネルが消える日 (朝日新書)

明日のテレビ チャンネルが消える日 (朝日新書)

本書の” はじめに ”は、”「これは伝えなければっ!」”で始まります。そう、米国でテレビが変わり始めています。そんな思いを伝えたくて、本書は書かれています。
第一章にアメリカのテレビ最前線から今後のテレビを占う3つの変革ポイントが挙げられています。”変革ポイント①映像をどこでも見られる、モバイル、クラウド配信”、 ”変革ポイント②番組をバラ買い、集めてマイチャンネル”、 ”変革ポイント③映像をシェアする時代”の3つが挙げられています。この最後の変革ポイントが、大きなキーワドとなります。
おいらも、なるほどと思ったのですが、”インターネットに対応するテレビを象徴する言葉として、最近アメリカでよく聞くのが、ソーシャル・テレビという言葉です。”と本書に書かれています。キーワードは”ソーシャル”ですね。最近は、”ソーシャル”を冠した言葉をよく聞きます。
この、ソーシャル・テレビとは、インターネットを利用して、お気に入りの映像を友人達とシェアして楽しむことです。”これ見た?”とか、”このシーンって凄くいいよね。”とかのコメントと同時にそのシーンをカットしてインターネット上でシェアするのです。インターネットならではの利用方法です。従来のテレビではできません。従来のテレビは、情報が一方的に流れてくるだけです。
また、アメリカのテレビが、日本と大きく異なるのは、ケーブルテレビの市場規模です。普及率は日本と同じ50%前後ですが、市場規模は899億ドル、日本の4667億円と比べて約20倍の規模です。アメリカ人にとってケーブルテレビは身近な存在ですが、月あたり100ドルから120ドルで見ているようです。ちょっと高い気もします。
このケーブルテレビ業界は非常にローカル色が強く(4大ネットワーク以外の独立系チャンネルが多い)、スティーブ・ジョブズ氏もD8のインタビューの中で、” In the phone area you were able to partner with a carrier... would you do that with TV?(電話ではキャリアとうまくパートナーを組みましたが、TVではどうでしょうか?” という問いに対して、” Well then there's a problem, providers are local... it's a Tower of Babel problem...(問題がある。プロバイダーはローカルだ。バベルの塔だよ。)”と、いっています。なかなか、新しいビジネスモデルを外部から(iTuneで実行したような)持ち込むのは厳しい局面があるようです。
本書の中で取り上げられている会社で、”ボクシー(Boxee)”という会社があり、インターネットの動画をテレビでみることができるサービスを提供しています。Google TVの先を行っていますね。
そしておいらが一番気になったのは、次の言葉でした。”メディアが人を集める時代は終わり、メディアが人を追いかける時代”になる。これは非常に重要なキーワードです。
従来のテレビは、確かにメディア(コンテンツ)を再生する装置として王様でした。それで、皆が(視聴者、スポンサー、製作会社)テレビの前に集まったのです。ただ、これからの時代は、視聴者をメディアが追いかけていくのです。あくまで、個人消費者が中心となります。個人の行動に合わせてメディアが再生される訳です。いまではメディアを再生する装置がいたるところに存在します。
テレビ、PC、モバイル(携帯、NotePC、iPadタブレット端末)、パブリック(デジタルサイネージ)等、いたるところにメディアの再生デバイスが存在します。
このため、広告の流れも大きく変わってくると予想されます。当然、広告に使われるお金の流れも変わってくるでしょう。
”メディアが人を集める時代は終わり、メディアが人を追いかける時代”は、非常に重要なキーワドとなるでしょう。