D8でSteve Jobsが語る。(下の巻)

D8でのスティーブ・ジョブス氏のインタビューです。上の巻中の巻に続き、最後の下の巻です。
ここでは、会社に対する熱い思いが語られています。アップルがどのような会社であるかを、端的に表している言葉があります。
インタビューの中で、"Apple is an incredibly collaborative company."とありますが、これは各部署が有機的に絡み合っていることを表しています。要は、セクショナリズムに陥っていない、大企業病になっていないという証です。それに続き、”We're organized like a startup. We're the biggest start up on the planet.”と語っています。スゴイことです。アップルはスタートアップの会社みたいに組織されていて、ジョブス自身も、アップルはこの世界(この惑星)の中で、一番大きなスタートアップ企業だと言っています。この方針が、アップルが常に斬新で先頭を切った製品を世に送り出し続ける秘訣なのでしょう。この思いは、昔と変わらず、”The core values are the same.”とジョブスは語っています。
質問コーナの中で気になるのは、TV産業についての質問に対する回答です。やはりAppleTVを成功させるべく、次のマーケット戦略を考えているようですが、まだ熟していないようです。それと、米国の事情なのか、ケーブルTVのプロバイダーがローカルにたくさんあることが、ビジネス戦略をうまく進めて行く上で、壁となっているようです。ジョブスも思わず、"it's a Tower of Babel problem”と言っています。ただ、アイデアがあるようで、とにかく、今のセットトップボックスをとっぱらてしまうような、新しいUIが必要だと言っています。WWDC前には、$99のAppleTV発表のウワサも流れていましたが、価格だけではなく、もと斬新なUIがない限り、次期AppleTVの発表はないし、AppleTV自身も成功へとつながらないでしょう。

さて、それでは、下の巻をお楽しみ下さい。

D8でSteve Jobsが語る。(下の巻)

K:毎日何してるのかしら?好きなことは?
S:私は、世界の中で、一番の仕事をしている。会社にきて世界のなかで最も素晴らしい社員と仕事をしている。最高の砂場で遊んでるのさ。
W:アップルでの日々の役割は何なんだい?新しい電話の発表もあるし、個人的役割って何なんだい?
S:アップルを理解する一つの鍵は、アップルは信じられないほど協業的な会社なんだ。知ってるでしょう。アップルに委員会がいくつあるかって。ゼロだ。アップルはスタートアップの会社みたいに組織されている。この惑星で最大のスタートアップ企業なんだ。毎朝3時間ミーティングする。ビジネスについて、いたるところで起きていることについて語るんだ。優秀なチームにどうやって分業するかを考えだすんだ。そしてお互いで話すんだ。毎日私がやることは、チームのみんなと会うことだ。優秀な人材を集めることは、すばらしアイデアを思いつかせる。私は、アイデアを出す。アイデアを出さなかったら、なぜアップルにいるんだ。
K:あなたの人生で、これからの10年について何を想像するかしら?
(長い間)
S:知ってのとおり、Gizmodoの件が起きたとき、アドバイスを受けたんだ。”そんなことは、放っておけ。ジャーナリストに関わるな。やつらは、所有物を盗んだし、たかろうとしてるだぞ。”ってね。このことについて、じっくり考えたんだ。もしアップルがコアとなる価値を変えて、それを放っておいたら起こったかもしれない最悪のことを考えたんだ。私にそれはできない。それならやめた方がいい。5年か10年前は、何をしてたか。戻ることはできないが、当時と同じ価値感を持っています。中心をなす価値は同じです。当時と同じことをしたいのです。最高の製品を世に送り出すことです。何てiPadはクールなんだ、とかのメールを受けとると最高に嬉しいです。そういうことが、私を前進せせてくれるのです。当時も今も同じです。そして未来へと向かわせるのです。
W:次は何をするんだい。広告のビジネスでもするのかなあ。
S:そうだね。
W:この分野の競争相手については、どう?
S:彼らの広告の配信システムは最悪だ!アップルはあることに気付いたんだ。みんなはアプリを使っている。ウェッブサイトを使っていない。みんんはアプリを気に入っている。これは、まったく新しい出来事だ。検索を使わずYeipみたいなアプリを使っている。
(スティーブは、AdMobや他のサービスよりiAdが優れていることの詳細を述べる。)
S:広告は、アプリを中断さる。そうじゃあなかったら、すごくない?
W:誰もしたことがなので、確約はありませんよね?
S:確かに。でも誰もそんなことしていない。
W:分かった。次の尋ねたいのはプライバシーについてだ。こめんマーク。間違いの洪水だ、間違ったスタートだ、Facebookや Buaaや・・・
S:それにGoogleWiFiでの収集事件。
W:プライバシーに関しては、シリコンバレーは違った立場なの?
S:いや。プライバシーは、ほんとに重要だと捉えている。電話で位置を得る時も、ほんと重要なこととだ。どのアプリでも位置情報を得る前に、位置情報を使ってよいかをパネルで尋ねます。OURパネルと呼んでいます。いいかどうかを尋ねます。これは、監視的なapp storeである理由の一つでもあります。シリコンバレーの多くの人々はそれは古くさいことだと思っています。でもアップルは重要なことと捉えています。
W:でも、クラウドに向かおうとしている。
S:クラウドとは関係ない。明白で簡単なことをみんなは知りたがっている。何をしたいのかを尋ね、尋ねることをやめることも尋ねる。
(大きい歓呼)

さあ、質問タイムだ!
Q:分析に関し、TOSシステムを変更しましたが、開発者のデータを所有したいがためでしょうか?
S:そう、われわれは、本当に興味深いことを学びました。ある会社は、Flurryと呼びましたが、われわれの社内で使っているデバイスのデータを持っていました。新しいデバイスのデータです。その会社は、情報を得るように、開発者がソフトウェアをアプリに仕込んだのです。会社に情報を返すようにね!それで、カチンときたのです。アップルのプライバシーポリシーに反する行為です。そういうことは、われわれをいらいらさせるのです!!デバイス情報を与えないという条件で、分析を許可しています。広告の目的にだけです。でも、デバイスから情報を得ることはできません。買うことや売ることもできません。それはできないことなのです。いいですか?
Q:そうですね。でも、アプリをよくするための不可欠の情報があります。
S:確かに。でも、ユーザに対しデータを送っていいかどうかを確認しなくていい、とうことにはなりません。
Q:こんにちは。私は、Village Roadshow picturesのオーナの一人です。しばらくの間、ディズニーのことは置いといて、われわれは、映画のプロデュサーとして、大きなビジネスをしてきました。顧客がわれわれに向かうようにです。コマーシャルや映画にお金を使うようにです。どうやって、コンテンツ価値を保つのでしょうか?そしてユーザがそれを簡単に手に入られるのでしょうか?
S:コンテンツ・クリエータにはたくさんの好機があります。例えば、映画を市場に出す方法は、変化しています。今や、より効果的に聴視者にコンタクトできます。音楽の会社に行った時のことです。言いましたよ。あなたの顧客は誰なのか?彼らは言ったのです。Target や Best buyさ。彼らは、小売業者を顧客だと考えていたのです。その業界で変わったのは、フロントエンド、流通そして非常に効果的にできるマーケティングです。何でも、いつでもみんなが観たいものをみせたいのです。変革が必要です。
W:いつ起こるのか?
S:今、起きている。多くのものが変わって行くでしょう。ヒットシアターでみるより早く、映画を観ることさえできるようになるでしょう。それなりの、お金を払えさえすればね。
(スティーブは、デザリングとワイヤレスの同期に関する質問をさえぎり・・・)
S:コンテンツの共有についてですよね。しれは、もっとよくする必要があると感じています。
W:すぐによくするの?
S:検討しているところです。
Q:スティーブ、われわれは、iPhoneをとっても気に入っています。でも、懸念事項は、電話がつながりずらいことです。これについて、改善されるのでようか?
S:はい。問題については話しています。もちろん、アップルは全力を尽くしている。
Q:何か期待してもいいですか?
S:何について話されたかというと、(長い間)より良くすることです。スペクトラムを再配分しています。バックホールを増すようなことです。ギガバイトインサーネットをT1の代わりに設置します。ものごとは良くなる前に悪くなるものです。あなたが、信じればすぐにでも多くのことがよくなることでしょう!
(大爆笑)
S:この夏の終わりまでには、きっと多くの場所で良くなっているでしょう。
K:良くならなかったら?
S:そのときは、かれらがしなかったということ。
Q:コンテンツが増えていることに興奮しています。でも、ファイルシステムへアクセスできません。改善プランはありますか?
S:アップルは、たくさんのやることがあるのです。まずチャットです
Q:私は、DVDで映画を買いました。デジタルダウンロードの機能が付いていました。iPadに接続しました。VGAアダプター経由で映画を観ようとしました。でも、HDCPのためできませんでした。打開策をお持ちでしょうか?
S:それは、アップルが作ったものではありません。
Q:でも、iPadに機能がついています。
S:コンテンツクリエータは、作品をプロテクトしようとしています。彼らは、わらをも掴む思いです。ある時は、正しいものを掴むしある時はそうではありません。この作品にアクセスしたいなら、彼らのルールに従わなくてはなりません。お気の毒ですが。
Q:ゲーム市場は巨大です。あるアイデアで会社を興しました。新しいデバイス向けのゲームについてのビジョンは何ですか?自分の提案もあります。
S:たしかに、iPhoneiPodは新しい部類のゲームをつくりあげました。お手軽なゲームです。でも、すごくいいゲームもあります。グラフィックスに関して、コンソール用ゲームと遜色がありません。コンソール用ゲームのソフトは、$30から$40です。iPhone用のアプリはもっと安いです。それでマーケットが拡大したのです。これらのアプリは、ほんとうにエキサイティングです。
Q:こんにちは。私は、Hillcrest Labsの者のです。TVのインターフェイスを何とかすべき時であると、思いませんか?アップルは、いつされるのでしょうか?
S:TV産業の革新の問題は、マーケット戦略にあります。TV産業は、セットトップボックスをただで配るという、補助モデルです。誰もセットトップボックスを買いたがりません。TiVoに訊いてみて下さい。Rokuや自分にもね。数ヶ月したらGoogleにも訊いてみて下さい。誰もが、TVにセットットプボックスをつなげることができます。ついには、リモコンでテーブルがいっぱいになります。セットトップボックのかたまりやらもね。それが、今の現実です。変革の唯一の方法は、セットトップボックス類をとっぱらい、新しいUIを与えることです。ユーザが望みそうな方法で、ユーザの前に起くことです。よりよいマーケット戦略に辿り着くまで、TVは、そのままです。さもなくば、あらたなTiVoを増やすだけです。
Q:電話でキャリアとやったようのことを、TVでやったらどうでしょう?
S:問題がある。プロバーダーはローカルです。ちょうどバベルの塔の問題のようです。

K:みなさん、スティーブ・ジョブスでした!

(下の巻 終わり)