D8でSteve Jobsが語る。(中の巻)

D8でのスティーブ・ジョブス氏インタビューです。前回の、上の巻に続き、中の巻をおとどけします。

D8でSteve Jobsが語る。(中の巻)

S:わかるでしょう。何がそんなにすごいかって。(熱く語る)・・・数年前を思い出して下さい。スマートフォンのアプリ市場はなかったんですよ。
W:そうだね。パームはアプリを持ってた。でもストアはなかった。
S:そう。今みたいじゃなかった。いまやアプリは膨大な数です。それに、電話を買ったら、アプリはキャリアからのお仕着せだった。iPhoneは、キャリアにネットワークを気にしてくれ、と最初にいった電話だ。そして電話については、われわれにまかせてくれ、とね。
W:ネットワークで、どうやってするのでしょうか?
S:ほんと、いいことがある。忘れないで。キャリア(AT&T)は、競合他社が一つになったよりも、もっと多いデータトラフィックを扱っています。ただ、キャリアは問題を抱えている。
K:他のキャリアに移ることはどうかしら?
W:米国で、二つのキャリアを持つ利点があるかね?
S:たぶん、ある。
W:近じかってこと?
S:コメントできなのは、分かってますよね。アップルは、販売したい電話を売る方策を見いだしたんだ。それを、できるとは思ってもいなかったけどね。でもやったんだ。アップルは、このビジネスに身を置いたこともない。そして、AT&Tはアップルの電話で大きくジャンプしたんだ。それは十分にうまくいった。そう、アップルは、ゲームのルールを変えたのさ。タブレットも同じことさ。あなたに言ったことを覚えているよ。手書きは、これまで、最もゆっくりとした入力手段である、とね。アップルは、タブレットを創造しなおしたんだ。マイクロソフトがしたようには、しなかった。マイクロソフトは、アップルとは全く異なった考え方だ。全てやめたよ。マイクロソフトタブレットは、PCをベースとしたものだ。バッテリー寿命があり、重い、PCにあるようなカーソルが必要。でも、入力用のペンをやめた瞬間、正確な指が使えるんだ。PCのOSは使えない。ゼロから創り出さなければならないんだ。
W:いつ、このOSを構築したんだい。このOSを、iPhoneに搭載した。なぜ?なぜ、タブレットが先じゃあなかったの?
S:言いましょうか。実際、タブレットの方が先だったんだ。ガラスディスプレイのアイデアを思いついたんだ。タイプできるようなマルチタッチディスプレイをね。社員に頼んだんだ。そしたら、六ヶ月後に素晴らしいディスプレイを持って戻ってきたんだ。それは、素晴らしいUIの一つになったんだ。彼は、慣性スクローリングと他のことに取りかかった。私は考えたんだ。これで電話ができる。タブレットは後回しにした。そして、電話に取りかかったんだ。
K:で、タブレットはどこにいっちゃったのかしら。雑誌と新聞に関連することはどうかしら?
S:自由な社会の基盤は、自由な新聞だと思う。われわれは、米国の新聞に何が起こっているかを見てきています。思うに、新聞は、非常に重要です。ブロガーの国に身を落とすのは嫌ですね。編集者が必要なんです。もっとね。インターネットのコンテンツの大販売業者の一人として言うことができます。価格はアグレッシブに、そしたらボリュームはついてくる。それは、効果的なのです。新聞にも、同じことをさせようとしています。印刷でしたことと、違ったことをすることが必要なのです。コンテンツにはお金を出すでしょう。音楽やビデオ。そしてメディアにもね。
W:君のシステムが本の値段を上げたんじゃあなかたな?いま、君が言ったことと反対じゃあない?
S:やー、ふーーむ。それは複雑です。市場は今や、六ヶ月前よりも消費者需要に敏感になっています。消費者が値段が高いというなら、市場はこのシグナルにもっと敏感になるでしょう。

W:タブレットは、ラップトップに置き換わるかね?どうなるか、君の考えて訊かせてくれ。
S:ご存知の通り、・・・(暫くの間)いい例えを考えてたんだ。農業国だった頃、すべての車は貨物用自動車だった。人々が、都心に向かうようになって、車に乗るようになった。そう、PCもトラックみたいになっている。少数の人はそれを必要とするだろう。そして、ある人々はこれを気にしている。PCはアップルにとって長い道のりでした。PCは素晴らしかった。でも、変わるんだ。既得権は変わっていく。アップルは、その変化に取りかかったんだ。それが、iPadなのか?いや、誰が分かる?それは、来年かもしれないし、五年後かもしれない。
W:君は来年とは考えないのかい?
S:そう。誰が分かる?

K:あなたは、パワーウィンドウやACにふれました。iPadを車で見るために追加することをどう思いますか?パワーウィンドウやAC(エアコン)について言ってましたが、iPadに追加されるものを何か考えていますか?車に追加するようにですけど。

S:私が話したとき、マジカルだってみんなは笑っていた。でも、あなたとコンピュータの間の何かが取り払われました。
K:そう、キーボードね。
S:でも、そのマジカルには何かがあります!アプリを使うのに、表面をひゅっとなぞっているだけです。アプリでできうることの、ちょっとしたことしかしてません。
W:iPad用にiWorkをリリースしました。iPadでできないことは?
S:iPadでできることをを挙げてみて下さい。ビデオ編集、コンテンツの製作・・・。
W:高速のプロセッサーを必要としますか?
S:まあ、時が解決してくれるでしょう。

W:ちょっと違った話題に移っていい?アップルは、たくさんのコンテンツやアプリを販売しています。そして、アプリの販売でリジェクとされることについて、数々の議論がされてきました。時々発言を撤回したことについてもね。アップルやウォルマートであれ、どれを販売すべきかどれを販売したくないかに口を出すような法律をきいたことがありません。そんなに責任を負うべきなのですか?アップルは大きな企業になりました。アップルはたくさんのアプリをもっています。消費者保護について書かれたことがあると話したことがありましたが、人々がパワーを得ることにマイナス面ですし、いくつかの時事漫画や選挙立候補者にノーと言っていることもマイナス面なのではないでしょうか?問題あり、と思ってないんですか?
S:まず、サポートするプラットフォームには二種類あることを言わせて下さい。一つはオープンでコントロールできません。HTML5みたいにね。アップルはHTML5をサポートしています。世界中の人のために、ベストのサポートをしています。そして、app storeのような監督的なプラットフオームをサポートしています。どのプラットフォームのなかでも、もっとも活気に満ちたアプリのコミュニティです。どうやって、チェックしているかって?たくさんの人数をかけています。毎日働きづめです。アップルはいくつかのルールを設けています。広告でないこと、クラッシュしないこと、プライベートなAPIを使っていないこと。アップルがアプリをリジェクトする、これが大きな三つの理由です。でも、毎週登録されてくるアプリの95%は販売を許可していますよ。
W:この候補者と何かあったの?
S:他人を中傷することはできません。
K:アップルのアプリを選定する人に決定されているから。
S:そう、政治的な漫画はそれに引っかかりました。考えもしなかった。この人はアプリを申請しました。そしてリジェクとされた。でもそのままでした。アップルはルールを変更しました。でもこの人は、再申請しませんでした。そしてピューリツァー賞を受賞しました。そしたら、アップルがリジェクとしたと言ったのです。アップルが、間違いを犯したかのようにね。われわれはベストを尽くします、できる限り早く間違いを正します。でも、このルールは良識を育むと考えてます。アップルは最善を尽くし、間違いを正しているんだ。でも何が起こったか。人は嘘つきだ。報道者に急ぎ伝え、この弾圧について語ったんだ。そして15分間の名声を勝ち得た。アップルは報道したこともない。”こいつは嘘つき野郎だ!”なんて言ったこともない。
K:このルールをもっと明らかにして公表したらどうかしら。
W:開発者といつも話してるんだが、混乱してるって言っている。
S:95%は7日以内に承認されているのに。
W:そうなんだ。もっと改善できるって考えたことない?
S:そうしよう。でも、気付かせてあげたい。

(中の巻 終わり)

中の巻での印象ですが、
まず、iPhoneの成功は、アプリの市場をきちんと形成したことだと、語っています。そしてキャリアに対してルールを変えたことです。”アップルは、ゲームのルールを変えたんだ。”(And we really changed the rules of the game.)と言っています。そして驚きは、iPhone OSは、最初タブレットで開発されていたことです。ただ、結果からすると、iPhoneを先行して製品化したのがよかったと、おいらは考えています。なぜなら、このマルチタッチというUIを多くの人に広めることができたからです。そして、iPadは、PCに変化をもたらそうとした意図が強く感じられます。
アプリの承認制度は、賛否もありますが、やはりある一定の水準を保つために必要です。また、インタビューの言葉から感じられるのは、アプリの承認制度以外の話題からも感じられますが、ジョブス氏は、”良識”を重要視していることです。アップルのアプリストアからリリースされるアプリに、”良識”を持たせたいといった思いがあるように感じられます。