クラウドの先にあるもの(第3回)

前回の終わりに ”通信の本質は、ロケーションフリーとリアルタイムである。通信はこの実現に突き進む。コンピュータの本質は、全てをビット化、デジタル化に向かわせる。そして、インターネットによりビット化、デジタル化の壮大な流通ネットワークが形成されたのである。” と書いた。
インターネットにより、デジタル化の壮大な流通ネットワークが形成されたわけであるが、この流通している膨大なデジタルデータに対して価値を見いだすのは、当然のことながらおいらたち人間である。それではどの様にして価値を見いだすのか。これは、巨大な図書館のなかから、自分の必要な情報(=価値のエッセンス)を見つけ出す行為に似ている。
おそらく次のような手順を辿ることであろう。
検索→抽出→整理→新たな情報(=価値)構築

さてさて、ちょっと先を急いだかもしれない。
このインターネットが爆発的に普及したターニングポイントは、まず、Mosaicの登場であろう。Mosaicは、1993年6月にイリノイ大学のマーク・アンドリーセンらにより開発された。これが画期的なのは、テキストと画像が混在して表示できた点である。テキストと画像が混在して表示できることによって、他のメディアと同一ラインにたったといってよい。本、雑誌、新聞等の紙媒体にできる表現がPC上(デジタル化)で実現した。
ほぼ人間の思考の産物はデジタル化され、誰もが閲覧可能になった。

検索のアイデアが生まれ、インターネットの中で、検索が重要な位置づけになることは、当然のことであった。繰り返しになるが、この膨大なデジタルデータの中から自分の必要な情報を、まず見つけ出さなければならないからだ。
ただ、検索エンジンはまだ発展の途上にある。テキストまたはタグでテキストと紐付けされたデジタルデータしか検索できない。
検索エンジンはまだまだ開発の余地がある。
Googleの全貌:日経BP社”のなかでも、Googleのメイヤー副社長が語っている。
”今はまだ質問の意図を検索エンジンが正しく理解するのは、非常に難しい。だから利用者は、(外で見かけた鳥のことを調べる場合)あそこにいる鳥の名前を正しく文字で入力しなければならない。”
より深く、個人の思考を支援する検索エンジンが必要なのだ。
”検索→抽出→整理→新たな情報(=価値)構築” が理想であるが、現在の検索エンジンは、まだ抽出の域に止まっている。このため、検索エンジンは今後とも、ますます重要な技術となろう。

さて、ウェッブ(インターネットの窓)の閲覧は受動的である。第三者によりストックされた情報を見るだけの行為だからだ。
ただこれも、いまやPCやデジタル機器の進化と価格破棄によって、誰もがこの壮大なデジタル流通ネットワークに容易に参加できる時代となった。能動的な行為(閲覧のみではなく、デジタルデータの登録と発信)が容易にとれるようになったわけだ。
また、ネットワークインフラの整備と機器のMobile化により、いつでもどこでもこの壮大なデジタル流通ネットワークの恩恵を受けることが可能となった。

人々の能動的な行為をビット化、デジタル化し取り込む、すなわち、インターネットの中に(取り込まれたデータがどこに存在しているのか意識したこともないであろう。)人々が積極的にログ(記録)する時代へ移行する。
インターネットのセカイに対し、受動的行為から能動的行為へ移行する。
さらに、このインターネットのセカイに、人間の行為が常時リンクされていく。
私はどこにいて、何を欲しているのか。今私は何をしているのか、何をしていたのか、何をするのがいいのか。
それぞれの行為に、”過去” ”現在” ”未来” の時間軸にそった価値がそれぞれ生み出される。

それに、人々の膨大なログから、社会全体の意識が形成されたり、社会全体の意識や感情が検索される時代が来るかもしれない。

むむ、自分で言うのも何だが、だんだん抽象的な表現が多くなって分かりづらくなってきた。

頭を休めるために、ちょっと未来の世界を覗いてみましょう。


今回はこのへんで終わりにします。

(つづく)