iPadをkeynote speechから読み解く。

ついに、AppleTablet、そうiPadが発表された。
いろいろな噂が流れたが、発表されたTabletは、期待を大き越えるものではなかった。かと言って、落胆するほどでもない。
AppleTabletの最終形態が示されたわけではなく、Tabletの可能性を示した第一弾という位置付けである。
このことを理解する上でも、Keynote speachは重要である。経営者の製品にかける思いが語られるからだ。
というわけで、Keynote speechからSteve Jobsの思いを紐解いてみた。


1.iPadの位置付け
iPadの位置付けは、明確だ。スピーチの冒頭にもあるが、iPhoneMacbookの間を埋める、New Category Deviceである。

Browsing、Email、Photos、Video、Music、Games、eBooksをサポートするDeviceだ。
でもNetBookなんかではない。NetBookなんて、Displayがちゃっちいし、PCのソフトしかない。
でも、iPadは違う。ゴージャスなたくさんのアプリがあるのだ。
iPadiPhoneの継承者だ。
iPadiPhoneによりスタンダード化したマルチタッチの利用シーンを、さらに拡大させることが目的なのである。

2. 何故iWorkなのか?
iWorkというと、当然MicrosoftのOfficeを連想させるわけで、ビジネスというイメージがつきまとう。iPadというと、個人的なエンターテイメンのDeviceというイメージがある。その為、iWorkiPadのイメージにそぐわない印象がある。
でも、Jobsのスピーチからすると、意外と、このiWorkにチカラを入れているのではないかとおもわせる節がある。スピーチの中で、既に数年前に、Tablet向けにiWorkをもっとクリエイティブなもにすることを命じたと言っている。数年前といえば、iPhoneが発表された時期だ。既にその頃からiWorkTablet版にインプリメントする計画があったということだ。
スピーチの中にもあるが、iPhoneによってタッチスクリーンによる操作、マルチタッチによる操作が浸透し、ヒューマンインターフェイスのスタンダードの地位を獲得した。
このマルチタッチによる操作によって、ビジネスユースのプレゼン資料やワード、スプレッドシートの作成をよりフレンドリーにすることができるのは事実だ。
タッチ入力、マルチタッチにより、より直感的な操作でプレゼン資料やワードやスプレッドシートができちゃうのだ。
個人的には、このiWorkのプレゼンが一番興味を惹かれた。
PowerPointによるプレゼン資料の作成やWordやExcelによる資料の作成が、日常のビジネス業務のなかでも多いだろう。でもその操作は、KB入力とマウスによる操作であり、人間の頭のなかで思い描く操作とは程遠い。人間が思考し、それをコンピュータに反映させる手段としてKBとマウスしかなかったが、より直感的な操作、画面に手を触れ表現したい箇所に直接思考したイメージを、そのままダイレクトに埋め込むことができる。Jobsは、このクリエイティブな操作性を、仕事の中にも取り込みたいという思いがあったのではないだろうか。
Keynoteのデモの中で、ビデオではよく見ないと分かりづらいが、右手の指でページ画面をタッチホールドし、左の指で他のページ画面をタップしていくと、タップしたページ画面とホールドしたページ画面とがワンセットになるシーンがある。

これもマルチタッチの利用シーンを拡大したものである。
ホールドとタップをセットにした新しい操作だ。

3. iBook
そしてiBookの登場となるが、iBookはそれほどJobsの思い入れが強いわけではない様に思える。
相変わらず画面表示はグッドである。本のページがめくれていく具合といい、さすがAppleと思わせる。

コンテンツをどう取り揃えていくかが、キーとなるのは言うまでもない。
AmazonKindleによる販売ルートを、個人出版向けに解放した。Appleも同様に、iPadiBook販売ルートを、個人出版向けに解放して欲しいものである。