インターネットで世界を変える。

堤未果著 " 貧困大国アメリカ2 " を読んだ。

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

インターネットで世界を変えることができるのか?と言う思いも込めながら読んだ。
前著” 貧困大国アメリカ ”を読んだ時の衝撃は忘れられない。”アメリカ”と言うと、アメリカンドリームやGNPナンバーワンである大国、大統領と言えば世界ナンバーワンの意思決定者とか、とにかく富める国というとイメージしかなかったが、そのイメージが見事に打ち砕かれてしまった。
今回の著作も前著と同じ流れで書かれているが、この異常な環境から立ち上がるべきだ、というメッセージが強く読み取れる。
今回の著作で衝撃だったのが、刑務所がビジネス化している事だ。受刑者が低賃金労働者となっている。刑務所内で電話サービスの労働が行われいて、月の賃金は2万円にも満たない。これは発展途上国以下の賃金である。刑務所が低賃金労働の供給源となり、企業の利益に貢献しているのだ。信じられない状況である。
また刑務所自体が賃貸しされており、不動産投資の対象となっている事も信じ難い事実である。
悲惨なアメリカの状況を綴っているが、エピローグとあとがきに、これを打開すべく人々が立ち上がりつつある事が書かれており、希望を持たせてくれる。この悲惨な状況はいずれ日本にも訪れる可能性があり( もう、訪れているのかもしれないが )、この様な状況に日本が突入する前に、世の中を変えていく必要がある。
日々の生活の中から改善すべき法律や制度を主張し続ける必要があるし、識者や良心ある政治家が、人々に正確に判断できる情報を提供し続ける必要がある。
著者もエピローグに、"若者の武器はスピード、IT、そして数の力である "、と書いている。
IT、特にインターネットは個人の力を最大限に生かせるツールであり、インターネットを活用して、世界を変えることも不可能ではない。インターネットを利用して、世論を作り出せばよい。
世界を変えられる様な、状況も整いつつある。例えばTwitterだ。Twitterは、個人のメッセージを同時に多数の人々に簡単に発信できる。多数のフォロワーに対するメッセージや、ハッシュタグにより世論形成の場を作り上げて行くことも可能であろう。

また、ITやインターネットと言うと、若者の領域と捉えられがちだが、決して若者だけのものではない。

週刊ダイヤモンドの1月23日号でTwitterの特集をしている。
31ページに、年齢別利用率が掲載されているが、このグラフだと60歳以上の方は2.6%である。ただこれは、サンプル母数のうち2.6%が60歳以上ということなので、Twitter利用者のうち2.6%というわけではない。
サンプル母数は、この資料の2ページにあるとおり1万人ちょっとである。
このうちTwitterを利用している総数は、各年代別の利用率を集計すればよい。各年代別の利用率を集計すると40%となる。このサンプル母集団の二人に一人はTwitterを利用している。
資料には、サンプル母数は、10580人とある。
このうちの40%がTwitter利用者だ。4232人がTwitter利用者となる。10580人のうち2.6%が60歳以上なので、60歳以上の利用者は、276人である。Twitter利用者内での比率を求めると、6.5%となる。

週刊ダイヤモンドの記事には、日本のTwitter人口は、500万人と推定と記載されている。このうちの6.5%が60歳以上となる。計算すると、32万5千人となる。
何と!32万人以上である。個々人では弱いチカラも、32万人がTwitterを利用して集結したら、とてつもないチカラとなるだろう。
ITやインターネットは、決して若者だけのものではない。

そして、個々人のチカラを集結させれば、世界を変えることも不可能ではないのだ。