グーグル時代の情報整理術

グーグル時代の情報整理術”を読んだ。

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

Googleの最高情報責任者であるDouglas C.Merrill氏と同僚のJames A.Martin氏との著作である。
題名は、"Google時代の情報整理術"であるが、次の様に読み替えてもいいであろう。"クラウド時代のライフスタイル"と。
題名だけみると、単なるハウツー本的な印象を受けるが、実はそうではない。
これは著者自身の失読症との闘いと、極めて辛い恋人との別れ(最後の別れのシーンは、思わずこみあげるものがあった。おいらも、涙もろくなったなー。)から築き上げた、人生の整理術(生き方)を綴った著作である。

本の中では、整理術の原則として20項目をあげている。
ただ、著者が文中でも述べているが、" 万人に共通の整理術はない "という通り、全てをそのまま、原則として受け入れる必要はない。" あー、そうだよね。ふむふむ、確かにそうだ。 "と自分なりに納得し、活用して行けば十分である。そして自分のスタイルにあった原則に、磨きをかけて行けばいいのである。
巻末には、著者のお勧めツールが掲載されている。著者が、元Google社員のためという訳ではないが、Googleが提供しているツールが多い。これは、例えば、Gmailはもともと社内で活用され、シェイップアップされたツールである。このように、必要によって生み出されたツールであるがゆえに、結果として”お勧め”になったのである。必要のためにではなく、必要であったがために生み出されたツールであるが所以だ。

20の原則には含まれていないが、エピローグで語られている事も重要だ。

著者は語りかける、
" 本書を通じて、私は人生を整理する大きなメリットについて述べてきた。効率や生産性を高め、ストレスを軽減すること。自分自身の障害を取り除くこと。危機や困難に直面した時のために、心の準備を行うこと。 ”
そして続ける、
" しかし、より重要なのは、人生を整理することで、自分自身を解き放ち、人生を心から満喫することだ。 "
著者は最後に叫ぶ。
" 考えるな、滑れ ”と。
この言葉は、おいらにはこう聴こえる。" 考えるだけでくな、行動せよ "と。

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著者の20の整理術原則は以下の通りである。
1. 脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てる。
☞脳は、同時にあまりに多くの物事を処理している。
2. なるべく早く、頭の中から情報を追い出す。
☞脳の短期記憶は、一度に最大で九個の情報しか保持出来ない。
3. ながら作業は一般的に効率を低下させる。
4. 物語を使って覚える。
5. いつもそうしているからと言って、そうしなければならない訳ではない。
6. 知識は力ならず。知識の共有こそ力なり。
☞著者は、クラウドの武器のひとつとして、”共有”をあげている。
7. 思い込みの制約ではなく、現実的な制約をくぐり抜けるすべを身につける。
8. 自分を決め付けるのではなく、自分自身に心から正直になろう。
☞自分を360度パノラマ化してみる。
9. 制約を無視すべきケースを知る。
☞恐怖こそ何よりも無視すべき制約である。
10 . エンジンをかける前に、どこへ向かっているのか、どうやって向かうのかを明確にする。
☞具体的な目標を念頭におくこと。
11.目標の達成方法に幅を持たせる。
12.情報を整理するのではなく、検索しよう。
☞ 検索は、クラウド時代の整理術に欠かせない立派なスキルだ。
13. 本当に記憶の必要な物事だけを記憶する。
14. 大きなかたまりを、小さなかたまりに分ける。
15. 週一回、重要な情報を見直す。
16. 完璧な整理術などない。
17. 検索しやすいように、デジタル情報には関連キーワードを追加する。
18. 文脈の変化を見越してメモをとる。
19. 文脈の似た仕事はまとめてする。
20.仕事とプライベートのバランスを取るのではなくて、融合させる。