Smart Phoneの次はCloud Phone

最近のiPhone5に関するウワサの記事には、同時に発表される廉価版のiPhoneのウワサがセットになっている。
おいらが気になるのは、どちらかというと廉価版のiPhoneだ。
この記事によると、現在のiPhone4のキャリア渡しの価格は$600であるが、これを$400程度に抑えたiPhoneを発表するのではないかという。

廉価版のiPhoneは、中国を含めた新興国向けをターゲット市場としている。
どの様に価格を抑えるかというと、秋にリリースされるiCloudの利用を前提にiPhone本体のストレージ容量をカットするのだ。ストレージ用として搭載されているFlashMemoryは、16GB版のiPhone4であれば、部品コストの15%程度を占めている。(部品コストの分析は、こちらの記事に詳しい。)
完全にストレージ容量をゼロにしてしまえば、15%のコスト低減は可能であるが、いくらなんでもゼロにはできない。16GBを半分にするのが精々なのではないか。こうなると、10%の低減もおぼつかない。
そこでもっとドラスティックに割り切る必要がある。
iPhone4のスペックをiPhone3GS程度に落とすのだ。表示画面もRetinaは諦める。それと一部の機能は削除する。例えば、電子コンパスジャイロセンサーは思い切って削除してしまう。電子コンパスジャイロセンサーを利用したアプリはかなり限定されるので、思い切って削除しても問題ないと思われる。
そんな前提を盛り込み、廉価版iPhoneのコストを試算してみた。試算した表を参考までに掲載する。

iPhone4の部品コストは、$187.51であるが、廉価版iPhoneは$133程度となる。
部品コストを30%以上削減できるのだ。これであれば、価格的に、Android版SmartPhoneにも十分に対抗できるであろう。
この価格の魅力とCloudを前提としたサービスの提供により、新しいカテゴリーのデバイスが誕生する。
自社のCloudサービスを前提としたデバイスは今までにない。Googleは、これに失敗した。
Appleは、今年の秋にiCloudをリリースする。iCloudによって、ストレージのみならず、Mail、Photo、Document、コンテンツ(音楽、映画、書籍、雑誌等)、アプリのCloudサービスが完成するのだ。

スペックは若干落ちるが、2年契約しばりで本体は無料、それにiCloudのサービスが自動的ついてくるとなれば、これは他社に比べて大きなアドバンテージとなるだろう。
それに、この戦略で多くのユーザを獲得できれば、このユーザはiPhone4やiPhone5の潜在顧客となるのだ。

Appleは、多くの顧客をiCloudに誘導する戦略を取るだろう。
iCloudの先には、Personal Cloudの世界が待っている。
Appleの大きな強みは、コンテンツの流通経路を自社で構築していることだ。コンテンツの流通経路を抑えているので、コンテンツ購入の履歴を自社で管理できる。
コンテンツ購入の履歴を、Persona Dataとして利用できる。当然のことながら、利用に際しては、ユーザの同意が必要であるが、既にiTunesやAppStoreでは同意のもとGenius機能がサポートされている。おそらく多くのユーザにとって、Personal DataをAppleが利用することに抵抗感は無いのではないか。Personal Dataの活用により、個人の嗜好にに合わせた広告の表示ではなく、個人の嗜好にマッチしたサービスが提供されるのであれば、多くの人が、これを歓迎するであろう。

廉価版iPhoneから、Appleの未来戦略が垣間見えるのである。