Mind Mapとクラウドに関する2冊の本

3月19日のブログから”クラウドの先にあるもの”といったテーマを書き始めた。
クラウドの先にあるもの”を整理する上で、どうも頭のなかで考えがまとまらないので、はたと困っていたが、本屋をぶらぶらすると、”マインドマップ"の文字が目に飛び込んできた。そうだ、マインドマップだ。
iPhone アプリで、SimpleMind Xpress をダウンロードしていたのを思い出した。
SimpleMind Xpress - mindmapping

人間は必要に迫られると何でも思いつくものである。で、さっそく考えをマップ化したのが、下の絵です。マインドマップの作図も初めてだし、アイデアの分岐の仕方もちょっと変なとこもありますが、これが意外と使えるので紹介します。ほんと、結構使えます。ここまでの大きなマインドマップのツリーが、あのちっちゃなiPhoneの画面でも描画できてしまうのに感激です。
iPhoneの入力画面です。上下左右に画面はスライドできます。


全体像は、Camera Rollにセーブできます。これが全体像です。

PC版は、30日間トライアルでダウンロードできます。ただ、PC版よりこっちのiPhone版のほうが好きです。やはり、PC版はKB・マウスでの操作となるので、使い勝手がiPhone版より劣ります。それにマインドマップを書くエリアもPC版はPCの画面表示で制限されますが、iPhone版は描画画面をスライドすれば描画領域がどんどん広がっていきます。
これで無料とはずごい。それにこのアプリはiPadで使いたいですね。iPadの画面であれば、全体のツリーを一望できます。


以上がSimpleMind Xpressの紹介でした。次は、クラウドに関連した本を2冊紹介します。
最初は、岡嶋裕史氏の著作です。”アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド携帯端末戦争のゆくえ”です。

クラウド”についての概説書である。概要を理解するうえではよい本である。また、題名の通り、3社のクラウドに対する戦略も分析している。
クラウド化は、膨大なサーバ使用(仮想化)を前提としている。その中で、ハードウェアの地位が低下する。ハードウェアは壊れてもよいことを前提に仮想化を実現する。ハードウェアはどこにあてもよい。ユーザが望むのは、そのサービスである。
おいらは、ハードウェアに関わっているため、この一文にはショックを覚えた。ただ、現実を見つめてみるとそれは真実だ。PCはコモディティ化しており、ハードのみでは多くの価値を生む出すことができない。(注:価値を生み出せるハードも当然存在するが、PCに限ると、誰でもこれは認めざるを得ない。)
マイクロソフトの戦略は、それほど画期的ではない。今までのクライアント側にあった資産をクラウドに移行できますよ、と言っているに過ぎない。これは致し方ないことだ。マイクロソフトは、現在のPC業界の覇者であり、そのユーザ資産は膨大になる。これを保全する戦略を取らざるを得ない訳だ。
グーグルの戦略は、クラウド化に対する戦略というよりも、グーグルが目指す「世界の知識を整理しなおす」ことを達成するための戦略となる。グーグルのコアとなる戦略はシンプルだ。彼らは”情報”が欲しいのだ。PCや携帯端末は、この”情報”への”窓”であればそれでよい。
アップルの戦略は特異だ。著者が指摘している通り、アップルの強みは、iTuneでマーケットプレイス(コンテンツ、アプリの販売課金システム)を構築し成功していることだ。グーグルやマイクロソフトにはこれがない。本文中に著者も書いているが、気付いたら ”iPhoneを使って、便利にスケジュールや楽曲を同期させているうちに、生活情報のほとんどがクラウドに移行していた” 、となるのかもしれない。でもこれってかなり現実的にあり得るよね。アップルは、魅力的な端末でユーザの生活に密着しているがゆえに、この結果はあり得る。
最後に著者も書いているが、このクラウドビジネスで日本企業が太刀打ちできそうにない。クラウドビジネスは、系を形成する製品群(例えば、iPodとiTuneであったり、アンドロイドとグーグルアップスであったり)がないと成功しない。端末単体の価値だけで、成功することはないのだ。
著者も書いているが、ニッチな市場で生き残っていくしかないのかもしれない。
そこでおいらも思うのだが、いまの”クラウド覇権”はあきらめ、次ぎを睨んだ戦略に転換したほいがいいと思う。

次の本は、”クラウド時代とクール革命”。角川歴彦氏の著作である。氏は角川ホールデイングスの経営者でもある。

クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)

クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)

やはりメデイアを自社でも扱っていることから、メデイアの視点からクラウドを語っている。
先に紹介した”アップル、グーグル、マイクロソフト”の中でも触れられていたが、いまのままでは、クラウドの覇権はアメリカの企業に独占されてしまう。
この危惧のもと、著者が一番言いたかったのが最終章の”提言”である。著者は”クラウド”を国家戦戦略と結び付ける必要性を訴えている。アメリカは、”クラウド”をうまく国家戦略の一部に取り込んでいる。それに飲み込まれないためにも著者は国家戦略たるべく”東雲プロジェクト”を提言している。クラウドの基盤構築を国家プロジェクトとすべきと訴えている。確かに、一企業に情報の要を握られるには、好ましくない。最近のGoogleと中国政府の検閲問題に関した対峙も、情報流通の要を国家ではなく、アメリカの一企業に抑えられることを嫌った中国政府の強硬な姿勢の現れでもある。
著者の思いは、クラウド化の重要性を十分体感しているがゆえの、叫びでもある。