Googleの全貌。
”Googleの全貌”を読んだ。
- 作者: 日経コンピュータ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2009/12/10
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 351回
- この商品を含むブログ (58件) を見る
今、IT業界の話題の中心はGoogleである。そんなGoogleのサービス戦略と技術の全貌に迫った本である。
Googleの製品とサービスの概要は、本の最初にある綴込みで全容が把握できる。検索技術を中心とし、それを支えるデータ処理技術とアプリケーション製品。そしてWebをを超えた活動だ。
Googleのクライアント戦略は、Webブラウザを全ての基盤とすることにある。その戦略に沿った製品がChromeOSだ。Googleは、Webブラウザの位置づけをOS相当まで引き上げようとしている。 今のOSの概念を変える、いや既存のOSの概念を解体しようとしているのである。
ここで、ちょっとGoogle Chromeの開発ストーリを紹介します。
本の第4章は、Googleのコンピューティングの考え方を理解する上で重要である。従来型のコンピューティングとの相違(特徴)は以下の通りだ。
・ 自前主義
これはGoogleが運用するデータセンターの規模が、あまりにも巨大であるため、他社では開発不可能ということの裏返しである。
・ 情報爆発
基盤ソフトウェアを内製した背景である。情報爆発という言葉が、今の世の中を示している。
・ スケールアウト
安価なサーバで大量に並列処理をする。
・ メニーコア
マルチコアプロセッサーが主流になる。ウェア・スケール・コンピューテイングの概念。
・ ソフトウェアベースの耐障害性対策
ハードウェアが膨大な数となるため、ハードウェアは常に壊れていることを前提として、データの分散化で耐障害性を向上させる。
・ 関数言語
各プロセスが独立して処理される。分散並列処理に向いている。
・ エラー忘却型コンピューティング
無効なデータがあってもエラーを無視して処理を進める。エラーがあっても処理を止めない。
・ キーバリュー型データストア
分散処理向き、スケールアウトしやすいデータベース。
・ クーリエ処理中心
データの読み込みが中心となる処理。但し、Googleのデータ処理のニーズは大きく変わりつつあり、GFS(Google File System)を抜本的に見直している。
・ メモリ
データの保存先を物理メモリとし、アクセスの応答速度を向上させる。
ここでちょっと、GoogleのData Centerのビデオを紹介します。これが、コンテナ型データセンターです。Google は、これで特許も取得している。
本の感想に戻ります。本著には、開発者のインタビューも多数掲載されており、興味深く読めます。
例えば、Google Voice開発の発想がよい。「利用者が電話を使い分けるのではなく、電話の方が利用者を追跡して適切な通信手段を選ぶ」ことが開発の目的だ。ユーザ視点である。
Web Elementsの開発目的も、「一般のWebサイト利用者が、Webアプリケーションの開発者にもなれる。これは、情報やテクノロジを民主化するというGoogleの大きな方向性に沿った取り組みだ。」と開発者に言わしめている。
第3章のメイヤー副社長のインタビューや第7章のTechCrunchの編集長のインタビューにもあるが、実際に検索で使用しているのはテキストデータのキーだ。近くを飛んでいる鳥の姿をみて、鳥のことを知りたくても、鳥の名前を正しく文字で入力しなければならない。静止画や動画や音声をインデックスなしで検索するこちはできない。
検索技術は、まだまだ発展途上にある。これからも、いろいろなビジネスを生みだす、大きな可能性を秘めている。