はい!買います。

” 「買いたい!」のスイッチを押す方法 ” を読んだ。

人間の購買心理、購買意欲について、簡潔にまとめられている。最新の脳科学の話題もある。ミラーニューロンについてもふれられている。
人間の購買意欲について、考え始めるきっかけを与えてくれる本だ。

購買意欲を喚起することのエッセンスは、本文中にもあるが、"消費者は、「未来の私」を買う" ということに尽きる。
"お客さまの未来の消費行動を計画することが、肝である“と。

本文中で引用されている野中郁次郎氏の「美徳の経営」論の中で、賢慮の要素として6項目を挙げているが、この内容素晴しいので、ここにも引用させて頂く。

・善悪の判断基準をもつ能力
・他者とのコンテクスト(文脈)を共有し、共通感覚を醸成する能力
・特殊なコンテクストの特質を察知する能力
・特殊なコンテクストを言語や観念で再構成する能力
・概念を共通善(判断基準)に向かってあらゆる手段を巧みに使って実現する能力
・賢慮を共有し育成する能力

さて、消費購買の歴史を辿ると、経済の爆発的発展の途上において、供給者側の圧倒的優位な時代がまず存在する。今の中国はそれに近い。
三種の神器や新三種の神器が人々の幸せを牽引する時代だ。
商品のコモディティー化が進み、コモディティーと化した商品が、あまねく人々にゆき渡った結果、供給者側の論理は捨て去られ、消費者優位の時代が到来する。消費者主義の時代が到来するのだ。
これと並行して、インフラの整備(通信と情報処理の社会資本整備)が進み、誰もが個人の主張を、瞬時にしてWorld Wideへ発信する事が可能となった。個人が主張する時代が到来したのだ。

個人は主張する。何の為に?それは自己実現、自己を認知して欲しいが為の主張だ。
では、その先にあるものは何なのか?
おそらくそれは、また引きさせて頂いた、野中氏が唱える「他者とのコンテクストを共有し、共通感覚を醸成する」ことなのであろう。個人が主張すると同時に、他者のシンパシーを受け取ることによって、他者との共鳴が発生し、自己実現が完遂する時代となったのだ。

本文中には、消費者に”未来の私”を想像させるために、実際に使用された魅力的なPOP文章が掲載されているが、iPhoneをこの例でたとえると、
「 iPhoneが、新たな世界へ貴方を招待します。ポケットに入るこの小さな端末が、貴方を無限の可能性のへと導く扉となってくれるのです。enjoy、create、relax、happiness、connect you to the world、connect you to many friends! 」
これでiPhoneもっと売れるかな。