やっぱり気になるジェフ・ベソス

Amazonという名は多くの人が知っているが、"ジェフ・ベソス"という名を知っている人がはそれほど多くはないのではないだろか。
そもそもAmazonの創業者であるジェフ・ベソス氏について書かれた本がそれほど多くはない。
ジェフ・ベソス氏は小柄でもあり、一見するとカリスマ性に乏しい。あのぎょろっとした目も、とっつきにくい。
でも、ずーっと気になってたんですよね、ジェフ・ベソスのこと。
最近になって、ジェフ・ベソス氏に焦点をあてた本がやっと出版された。
『ワンクリック』である。
内容は予想したよりも面白かったし、ジェフ・ベソス氏はもっと評価されてもいい人物なのではないかという印象を持った。

ワンクリック ジェフ・ベゾス率いるAMAZONの隆盛

ワンクリック ジェフ・ベゾス率いるAMAZONの隆盛


IT業界の四天王といえば、AppleGoogleFacebookそしてAmazonだ。
この4つの企業は、いろいろな市場で競合しているが、そのコアとなるものは全く異なっている。
Appleはエクセレントな体験を享受したいという欲求を満足させてくれる。Googleは人間のもつ知りたいとう欲求を満足させてくれる。Facebookは人間本来のつながりたいという欲求を満足させてくれる。Amazonは良い商品を安く素早く手に入れるという欲求をを満足させてくれる。
4つの企業のうち一番消費者に近い位置にいるのがAmazonだ。
このため、Amazon(ジェフ・ベソス氏)が一番優先するのは顧客満足なのである。

逆にいうと、顧客満足を上げることが最優先されるので、従業員が優雅に 仕事をしているという状況にはならないが。

ネット販売の、今となっては常套手段となっている手法を、Amazonは先駆けて実施している。
この本の題名にもなっている、ワンクリックでの商品購入。商品に対する、カスタマレビューの掲載。関連した商品や関連するした本の表示。Amazonに誘導するための、アソシエイトプログラムの導入などだ。
これらAmazonが先駆けた仕組みや仕掛けてきた戦略は、顧客満足を最優先するということが、常にベースにあるのだ。
超簡単に商品を購入できる仕組みとしては、ワンクリック以上のものはないであろう。
誰もが商品を購入する際に頭の中をよぎるのは、この商品って自分が期待することを満足させてくれるのだろうかという不安である。この不安を解消してくれるのがカスタマレビューや評価の★マークだ。
お気に入りのメーカーや贔屓にしている作家以外の商品や本を購入する場合は特にそうだ。おいらもこの★マークとカスタマレビューをよく参考にする。(Amazonで購入しない場合でもだ。)
評価用の★マークとユーザレビューは、購入しようとする商品の評判や実際に購入した人の意見が聞けて非常に参考になる。それと本著でも書かれているが、評価をしていないレビューもきちんと登録されているのは、信頼感がある。評価をしないレビューも時には参考にもなる。
Amazonの購入サイトは、顧客満足を達成するために非常にうまく構成されているのだ。

顧客満足を達成するには、商品を安く提供する必要がある。
ここで重要なのは、Amazonはネットワークの力を利用して単に中抜きをしただけではない。流通の仕組みも変えている。
Amazonは巨大な自社の流通倉庫を保有している。ネット販売というと自社で在庫せずに、供給元から消費者に直接商品を届けるといった、身軽なビジネスとういイメージがあるが、Amazon顧客満足を達成するために、巨大な自社倉庫を保有している。ただ、その自社倉庫は、従来型の倉庫ではない。
何を実現しようとしたかというと、
"本を分類する、すばやく見つける、注文書と突き合わせる、梱包する"を一貫してできる"世界一の効率を誇る物流センター"なのである。
これによって、
"新品が売られいる本なら、注文を受けた日に95%を出荷できる"
体制を整えたのだ。
ネットは便利だ。パソコンの画面の中にはあらゆる商品が表示されている。
しかし、その商品をネットの世界から現実の世界に引き出すためには、物流という手段を使わざるを得ない。
ワンクリックした瞬間に注文した商品が手元に現れることが一番いいのだが、それは無理だ。
商品を、ネットの世界から現実の世界に出現させるまでの時間を短縮すればするほど、顧客満足は上がるわけである。
物流の手段が非効率的で、商品を注文してから何週間もたってから手元に届いたら、消費者はその商品にすでに興味を持っていないかもしれない。それに、消費者はそのネットの販売を利用して二度と注文をしないであろう。

本著では、ジェフ・ベソスの生い立ちについても書かれている。
生い立ちは、あのスティーブ・ジョブズとだぶるところがある。どちらも養父に育てられた。ただの偶然なのかもしれないが、両人ともどこか内から湧き上がるような執念にも似た情熱を感じる。